NHKが突如「受信料値下げ」を表明、視聴者不在の極めてうさん臭いウラ事情

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NHKにバラエティ番組は必要か?

――そもそも、受信料の適正料金とはいくらなのだろうか。

:NHKの受信料の場合、公共料金と同じ構造ですので、これだけの事業にお金がかかり、将来的な事業展開の備えとして残しておかなければならないのがこれだけとか、さらに開発費や施設を作るための蓄積などを積み上げた上で、予算はこのくらいと算出するわけです。視聴者にとって受信料は安いに越したことはありませんが、NHKとしてはこれもやりたい、あれもやりたいとなる。その予算内容を政府、国会に説明し、承認されればよいわけです。NHKがどう将来を説明するかにかかっているわけで、それによって適正価格も変わってくるのです。適正価格などあってないようなものなのです。

――事実上、税金化した受信料がいい加減に使われているように思えてならないが。

:放送法は受信料の支払いを義務とは規定していません。契約は義務となっているけれども、支払いは義務とされていないのです。しかし、昨年の最高裁が、受信料制度を合憲としたことで、事実上NHKにはお墨付きが与えられました。であればこそ、NHKは受信料をどの様に決めて、予算立てを決めているのか、透明度を高めることが重要なのです。株式上場している会社以上に、より公開性を求められる組織なわけですから。それは高市総務相から出された第2の条件なわけですが、彼らにとっては、家計簿を見せるようで嫌なんです。ならば、より国民にわかりやすく、支持も得られる受信料値下げのカードを切ったほうがいいということでしょう。

――徴収した7000億円もの受信料でバラエティ番組など作る必要はあるのだろうか。

:NHKがバラエティ番組などを作り始めたのは、たくさんの人に見てもらわないと受信料を取りあぐねるという危機感もあってのことでしょう。しかし、公共放送のNHKはなぜ設立されたか。放送法の基礎となった“ファイスナーメモ”を占領下の日本に残した、元GHQ民間通信局調査課長のクリントン・ファイスナー(1911年~2010年)という人がいるのですが、彼はGHQを離れた後も日本に住み、日本で亡くなった。80年代半ば、私は彼の姪子さんと知り合う機会があり、彼女を通じて今の日本のテレビをどう思うか聞いたことがあります。ファイスナーは“NHKが民放的に、民放はNHK的になり、公共放送と民放が併存していることによる多様性がなくなってきた”と語ったそうです。本来、NHKはスポンサーを当てにせず、受信料で成り立っているからこそ、視聴率は気にしなくていいはずなんです。NHKでしかできない番組を放送してほしいのですが――。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月30日掲載

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