覚醒剤で逮捕の「橋爪遼」、映画製作会社が元所属事務所に損害賠償3800万円を請求中

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キメて出演の可能性も

 もちろん有罪となった人物が出演している映画を公開していけないという法律はない。北沢楽天にも通じる心意気にようにも思えたが……。

「橋爪は2011年に薬物絡みで前歴があったものの嫌疑不十分で不起訴になっていたことも公判で明らかとなっています。つまり、彼の出演シーンは、リアルに“キメて”演じていた可能性もあるわけです。ただし、まだ劇場も公開時期も決まっていないようですが」(同)

 確かに前代未聞と言えそうだ。そして今、事態はさらに変化しているという。

「8月になって製作会社が、橋爪の元所属事務所に損害賠償を求めて提訴したんです。賠償額は、およそ3800万円。おおまかな内訳は、文化庁から交付されるはずだった補助金(文化芸術振興費補助金)1200万円と、企業などから支払われるはずの協賛金およそ2200万円だそうです。これらは橋爪の逮捕、有罪判決によってなくなってしまったのだから、契約を結んだ、当時の所属事務所が支払えという主張です。もちろん所属事務所は争う構えのようです」(同・業界関係者)

 俳優の不祥事で損害賠償という話は聞くが、実際に裁判を起こすというのはあまり聞かない。ベテラン映画プロデューサーは言う。

「ないこともないですよ、表沙汰にならないだけ。ただ、滅多に取り返せないね。特に事件が起こってから訴えたとしても、時間が経つと、裁判所も今となっては影響ないと判断する傾向があります。結局、お金をかけて代役で撮り直しても、マイナスイメージだけが残ってしまい、公開しても大損というパターンが多いんです。撮り直さずにそのままというのは聞いたことがないけど」

 前出の大高氏も、損害賠償請求は聞いたためしがないという。

「結局、なし崩しになってしまうことが多いですね。公開するには宣伝費もかかるから、赤字になることもあるでしょう。ただ、映画は作った以上、公開しないことには1銭たりとも入ってきません。大手でない限り、その作品1本で、会社の存続に関わることだってありますから、なんとか取り戻したいのでしょう。もっとも、文化庁の補助金にしても、橋爪の逮捕が原因で交付されなかったということを証明できるのかは疑問ですね。ただし、東京国際映画祭で賞でも取れれば、それが話題になってお客が入るということも……」

 北沢楽天が晩年を過ごした埼玉県大宮市(現・さいたま市)では名誉市民第1号ということもあって、地元も全面協力。すでに埼玉ゆかりの漫画家として再注目され、大木監督の講演会なども開催されている。

 果たしてこの映画、無事公開できるのか? ちょっと観てみたい気もするが――。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月25日掲載

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