完敗で王座陥落の「村田諒太」現地レポート 現役続行ならスタイル変更は必須

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夢を成し遂げたブラント

 前日計量の後、ブラントは自身の勝利を確信しているとしながら、村田をこう評していた。

「彼の映像を入手して全試合見た。いい選手だと思う。スマートなジャブを持っているし、右が強い。だから、それを食わないことを頭に入れてトレーニングしてきたよ。俺のスピードが鍵になるだろうね。おそらく12回フルに戦い、判定決着になるだろうけれど、倒せるチャンスがあれば、その前に終わらせるよ」

 ブラントにとっては、ボクシングのメッカであるラスベガスでのファイトも、世界タイトル挑戦も初めてのことであった。ファイトマネーも2億円(推定)が保証された村田に対し、28万ドル(約3100万円)に過ぎなかった。米国人ボクシング記者からも、「名前しか知らない」と言われる男だった。そんなブラントは周到に村田諒太攻略の策を練り、準備を重ねたのだ。そして、最大集客数4千人という小振りのアリーナで、夢を成し遂げたのだった。

 村田がもう一度獲物を追う立場に身を置くのであれば、ボクサーとして新たなパーツを上乗せする作業が始まる。それは、非常に困難な道と言える。しかし、心理学者ヴィクトール・E・フランクルが、ナチス強制収容所内での体験を記した『夜と霧』を愛読する村田が、今回の負けから何を学び、いかに次の人生に活かすのか? に興味をそそられる。 

 無冠となった村田は、どんな判断を下すのか。

週刊新潮WEB取材班

2018年10月21日掲載

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