どれだけ勉強すればいい? “受かればラッキー”のスタンスもアリ 知らないと損する「公立中高一貫校」ガイド

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“私立”にも対応できる

 さらに最近では、適性検査対策をする小学生に、新しい選択肢が加わってきている。適性検査型の入試問題を出す私立中高一貫校が増加しているのだ。

 それは当初、生徒集めに苦慮する私立中高一貫校が、公立中高一貫校のおこぼれをいただく目的で始まった。しかし、実際にそのような入試で生徒を集めてみたら、いままでの入試では取れなかったタイプの潜在能力の高い生徒が取れることがわかってきて、そのような入試形態がいま、私立中高一貫校の中でもブームとなりつつある。

 首都圏には約300の私立中高一貫校があるといわれるが、18年入試では、そのうちの約140校が、従来の4教科型とは違う、適性検査型入試、思考力型入試などと呼ばれる総合型入試を実施した。これであれば、公立中高一貫校の適性検査対策をしてきた子供でも十分対処できる。むしろそのほうが有利なくらいである。

 しかも、そのような学校では、「特待生」の制度を設けていることも少なくない。入試で良い成績を収めれば、授業料を全額または一部免除してもらえるのだ。公立中高一貫校に合格できなくても、私立中高一貫校の適性検査型入試で高得点をとり、特待生として入学できれば、学費の負担増は最小限ですむ。

 小学校低中学年のうちは公文式などを利用して、基礎学力と学習習慣の定着をはかり、高学年では無理のない範囲で適性検査対策を意識した勉強をさせてみる。公立中高一貫校に合格できたり、私立中高一貫校に特待生枠で入学が許されたりすればラッキー。ダメなら堂々と地元の公立中学に通い、小学生のうちに身に付けた学力を土台にして、高校受験で頑張ればいい。

 私立中学受験をしないと決めた家庭においては、これは極めて現実的で合理的な選択であるといえる。

おおたとしまさ
育児・教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。麻布中高卒、東京外国語大中退、上智大卒。リクルートから独立後、教育誌などのデスクや監修を歴任。中高教員免許を持ち、私立小での教員経験もある。最新の著作に『受験と進学の新常識』(新潮新書)がある。

週刊新潮 2018年10月18日号掲載

特別読物「受験生の新たな選択肢! 知らないと損する『公立中高一貫校』ガイド――おおたとしまさ(教育ジャーナリスト)」より

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