移転直前「築地」をお忍び訪問していた「小池百合子」都知事 引っかき回して何思う?

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 ここは東京・築地市場。午前5時、硬い表情の小池百合子東京都知事が、活気づく競り場を進む。来訪に気づいた仲卸業者たちはアレッ? と振り返り、動向をジッとうかがう。いつだってご自身のアピールには余念がないのに、この時は報道陣を引き連れるでもなく――。

 小池サンが築地市場を訪れたのは、閉場を翌日に控えた10月5日のこと。市場で働く業者にも都政担当の記者にも、事前のアナウンスをしない「お忍び訪問」だった。この11時間後、午後4時の定例会見で「今朝、築地市場を訪問してまいりました。今朝は3時起きでございます」と明かしたのだ。

 あれだけ「情報公開!」、「都政の透明化!」と声高に叫んでいたのに小池サンらしくない。いや待て、豊洲の土壌は危険だと喧伝してからの安全宣言や、築地市場の存続をチラつかせてからの方針転換という“実績”からすれば、前言撤回は得意ワザか。

 ともあれ、訪問時の様子を「区切りのご挨拶にお見えになりました」と振り返るのは、現場で知事に立ち会った築地市場協会の伊藤裕康会長である。

「都の職員やSPを伴って生マグロやエビの競り場を見学し、その後、私を含めた市場関係者ら数名で懇談しました。帰り際には、豊洲市場開場までの日数をかぞえるカウントダウンボードの前に立ち、記念撮影されてましたね。滞在は2時間ほどだったと思います。稼働中の市場に足を運びたかったとのことで、現場が忙しい最終日は配慮して避けられたそうです」

 市場移転の是非を政争の具とし、関係者を翻弄し続けてきた小池サン。移転延期で生じ続けた経費、環状2号線の計画変更等々、残したのは負の遺産ばかり。冷たい空気を感じているのかいないのか。その顔には無責任な白々しさが透けて見えた。

週刊新潮 2018年10月18日号掲載

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