米倉涼子「リーガルV」は「ドクターX」より長続き? キーワードはチームプレイ

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脱・米倉個人プレイに期待

 個人的に今回、こりゃうまくやったなと一番感心したのは、「ドクX」における米倉涼子の個人プレイ体制を、「リーV」では米倉をリーダーとするチームプレイ体制に切り替えたこと。

 失敗しないフリーランスの外科医・大門未知子ってのは、皮膚移植を受けたことのない女ブラックジャックであり、銃の代わりにメスを持つ女ゴルゴ13であって、つまりは絶対最強のマンガの主人公。たまのスペシャルで出くわすくらいならともかく、3カ月近く毎週、アクロバティックな個人芸による勝利(と、それに驚く周囲の面々の阿呆ヅラ)を見せつけられるのは、21世紀の大の大人にはけっこうキツかった。

 その点、「リーV」の元弁護士・小鳥遊翔子は、暴力団がらみの不祥事で資格を剥奪され、大手の法律事務所をクビになったという、脛に傷持つ身。表立っての弁護士活動は自分自身ではできないから、他の弁護士と必ず組まなきゃならない。

 自分で新たに立ち上げる事務所には、元法学部教授の高橋英樹(74)を看板の所長として、能力も度胸も足りない若手の林遣都(27)を手足のイソ弁に引っ張り込むし、高橋の教え子で米倉にやり込められた過去を持つヤメ検の勝村政信(55)もなぜだか巻き込んで、まず弁護士が3人。

 その下で働くパラリーガル(あの小室圭クンで認知度バク上げしましたな)にも、銀行員あがりの安達祐実(37)、警備員あがりの荒川良々(44)、夜は現役ホストの三浦翔平(30)の3人(全員、前科あり)を雇い入れてる。

 実際のところ第1話は、痴漢冤罪の刑事訴訟でも不当解雇の民事訴訟でも、事務所の総力で勝つというより、米倉が独りで勝ってみせる「ドクX」パターンだったんだけれど、これは誰がリーダーであるかを事務所の面々、そして視聴者に思い知らせるための初回限定のはずで、今後も続くとは思えない。

 弁護士役はもちろんパラリーガル役にまで芸達者を揃えた(ただし、今のところ三浦は除く)からには、彼らが米倉ともっと深く絡んで事件に取り組んでいかなきゃギャラの無駄づかいだし、何より、弁護士3人にパラリーガル3人に自称管理人で事務所の実権を握る米倉を足せばホラ、「七人の侍」の一丁上がり。「リーV」が明確な意図の下にチームものとして企画されたことは明々白々でしょ。

 だもの、第2話以降、個人的に期待してるんですよ、米倉と事務所の面々ががっぷり四つに組んで、子供じみた個人プレイじゃなく、大人らしいチームプレイで快刀乱麻の勧善懲悪……という展開を。

 ワタシも含め、いろんな人が「ドクX」の単純さをケナすときに引き合いに出してきた「水戸黄門」だって、よく見りゃ光圀の個人プレイではまったくなく、単身じゃなく、助・格に弥七、お新にお銀、うっかり八兵衛まで含めたチームプレイだし、最近の例を引くなら、いい大人が集まって展開する子供じみたチームプレイで成功したのが「三匹のおっさん」だった。

 とかく絵空事ジミてしまいがちなのが勧善懲悪モノ、そこに少しでも地に足のついた安定感・現実感を醸し出すのには一匹狼の個人ワザより、たとえ3匹の子豚なり7匹の子山羊なりでも連携ワザの方が有効なわけで、これがうまく機能していくなら「リーガルV」、「ドクターX」より長いシリーズになることも夢じゃない。

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