新垣結衣「獣になる」? 新ドラマに見る“ガッキー無双”のその先は…

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 大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の脚本家・野木亜紀子と新垣結衣のタッグ再び。鳴り物入りで始まった日テレ系のドラマ「獣になれない私たち」である。

「逃げ恥」に続き、ガッキーは今作でも「仕事ができる頑張り屋の女子」だ。でも彼女の役柄が、他の女優がやる「デキる女」と唯一違う点は「デキる女なのに控えめ」というところではないか。米倉涼子の「ドクターX」しかり、仕事のできる女の役はたいがい気が強い。しかしガッキーの役柄は逆に、優秀がゆえに忖度しすぎていたり、自信がなかったり、その気づかいも空回りしてため息をついていたりする。その、能ある鷹は爪を隠そうと頑張っているようないじらしさがたまらない。というファンも多いだろう。さらに「人のために無理してでも頑張る、だけど報われない」という主人公の境遇には、自分を重ねて見る人も多いのではないか。ヒットの予感は十分だ。

 ガッキー演じる深海晶は、社長や同僚、煮え切らない彼氏やその母親に振り回されながらも、作り笑顔を絶やさない。本音を言えず、溜まっていくストレスを発散するはずの行きつけのビアバーでさえ。そんな仮面をかぶった姿に対し追い打ちをかけるように、気持ち悪い、と切り捨てる松田龍平。ガッキーの十八番、「デキる女なのに報われない、健気なガッキー」だらけであった。もう1話目からガッキー無双に死角なしである。

 でも彼女の人気を支えているのは役柄や時代性だけではないと思う。正確に言うと、おそらく役柄と彼女本人の人物像を重ねて見る人間が多いからだろう。いい子なんだけど、いい子すぎて報われない女子、でもそこがいい。10代の頃の「ドラゴン桜」などではギャルの役もやっていたが、大人になってからの役柄は「いい子、優秀な子」の幅の中にあるように思える。スキャンダルもあまり出たことがないし、本人もSNSをやっていないため、彼女本人のリアルな様子がよくわからない。視聴者はガッキーの人となりを、ドラマからなんとなく推しはかるしかないのである。

 変な例えだが、沢尻エリカは清純な役をやりながらも、あの「別に」事件で総スカンを食らった。でももし、ガッキーがこの先何かの舞台挨拶で、ふてくされて「別に」と言ったとしても許されてしまいそうな空気さえある。むしろ「あのガッキーが言うって相当だぞ、人気だからって事務所が仕事詰め込みすぎんだよ」と事務所にクレームが行きそうなくらいに思えるほどだ。

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