“死んだら買い足せばいい”――猫カフェ最大手「モカ」で虐待発覚 ウイルス感染で次々と…

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〈猫パルボウイルスがまん延〉

 試みに「モカ」原宿竹下通り店を訪れた。強い色彩の部屋と、白で統一された部屋に分かれ、合わせて学校の教室より少し狭い程度だろうか。“接客”する20匹ほどの猫のかわいさは掲載の写真の通り。客が続々と訪れ、すぐに30人ほどがあふれ返った。猫の“ホステス”や“ホスト”はマイペースで、客が500円のおやつを買うと、接客を放棄して一斉に集まってくる。場所柄か、客の3人に1人は外国人観光客。料金は10分200円で、ドリンクバー代が別途350円。記者は2人で2時間滞在し、5千円ほど支払った。

 ところで、「モカ」といえば、運営会社のケイアイコーポレーションが8月2日、翌日から関東の全店を臨時休業すると発表し、話題になったのが記憶に新しい。

 きっかけは、SNSに、内部の人のやりとりと思しき、〈猫パルボウイルスがまん延していて、4日間で4匹死んだ〉〈他の猫も感染している疑いがあるのに、社長が営業を中止してくれず〉といった書き込みや画像が投稿されたことだ。

 同社の説明では、猫パルボウイルス(以下、パルボ)の感染症が、立川店で最初に確認されたのは7月26日深夜。感染を公表せずに営業を続けていたわけで、そのことが批判され、猫好きたちの心を痛めたのだ。

 ところで、パルボとはどんな病気なのか。れいこスペイクリニック院長の竹中玲子獣医師によると、

「糞便や吐瀉物を介して感染し、感染力は非常に強く、致死率は約95%。白血球が減少し、多くは3、4日で死んでしまう。菌が非常に強く、次亜塩素酸で消毒する必要があります。人には感染しませんが、猫の糞便が人の手に付着し、その手でほかの猫に触るとうつる。猫は自分の肛門を舐めた口で毛づくろいするので、体をなでたときに糞便が手に付着する可能性も考えられます。ですから、パルボが出たのに休業しなかったのは、非常に危険です」

 この病気の恐ろしさがよく伝わる。モカを訪れたばかりに、飼い猫にパルボをうつしてしまった人がいた可能性も否定できない。だが、一方で、竹中獣医師はこうも言うのである。

「ワクチンさえ打っていれば、 基本的には防げるので、“昔の病気”というイメージです。ワクチンを打っていない、 極めて劣悪な環境、多頭飼育、などの条件が重なった場合にのみ感染するという認識です」

 それなのに、「モカ」立川店の猫は、なぜパルボにかかったのだろうか。

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