〈詐欺とも言える行為〉〈目に余るハラスメント〉 文書が示す「速見佑斗コーチ」が抱えていた問題

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〈詐欺とも言える行為〉

 一つは、愛知のレインボー体操教室の北折明子社長が、日本体操協会の二木英徳会長と山本宜史専務理事に宛てた、7月11日付の文書。速見コーチが合宿に参加できないことを宮川選手が知らされたという日だ。そこには、

〈平成30年5月6日に弊社と宮川がスポンサー契約を締結し、(中略)宮川の指導者であった速見氏には、指導料込みの年間通信費として事前に払い込んでおります。しかし、事件を度々起こし、以後、弊社の所属指導者としては「不適格」と判断除名しました〉

 と書かれている。続いて、無断で専属トレーナーを登録し、その通信費もレインボーに支払わせるなど、速見コーチの〈詐欺とも言える行為〉、宮川選手の二重契約問題などが記されたうえで、こうある。

〈速見氏の行為に関してはもう1点、指導者としてあるまじき重大な問題を引き起こしています。それは、時おり指導現場において「宮川を殴り、そして抱きしめる」という目に余るハラスメントが頻繁に行なわれているとのことです。強化現場NTC(注・ナショナルトレーニングセンター)で速見氏の暴力・抱擁行為は、一緒に活動している他指導者や選手にも目撃されており、周囲の雰囲気を崩壊させていると状況を知る指導者から伺いました〉

 つまり、速見コーチは7月11日、暴力等が原因でレインボー体操教室の登録指導者から除外された。そのため、15日からの合宿に参加できなかったのであり、そこに「パワハラ」は絡んでいないのだ。北折社長の知人が補って言う。

「北折さんは年間契約料300万円を宮川選手に払ったほか、お金が全然ないという速見コーチに通信費として50万円払い、さらに雑費として100万円ほど渡しました。ところがその後、レインボー宛てに変な請求書が次々と届いたそうです。怪しいと感じ、以前の所属先である埼玉県のセインツ体操クラブに聞くと、暴力が原因でクビになっていた。ところが先に行動を起こしたのは速見コーチで、“宮川選手もふくめ、今後は連絡は山口政貴弁護士を通してほしい”と、北折さんに一方的に言ってきたのです」

 反目した理由は、北折社長が宮川選手を、塚原千恵子強化本部長率いる2020東京五輪特別強化選手特別強化対策に加入させたからだという。

「速見コーチは、海外の試合に出られない、NTCの使用が制限されている、と塚原さんの“パワハラ”を訴えるので、北折さんは塚原さんに直談判した。結果、“2020”に入れば解決するとわかったので宮川選手を入れたら、いきなり弁護士です。宮川選手とは2020年までの契約なのに、それでは契約不履行だから、支払った450万円の返金を求めると、お金はもうないと言われたのです」

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