大地震で“液状化”“水没”“大津波”の三重苦… 住むには危険な首都圏「ハザードマップ」

社会週刊新潮 2018年9月20日号掲載

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 これまで地震が少ないと思われてきた北の大地を、観測史上初めて、震度7の揺れが襲ったのである。

 9月6日未明に起きた大地震を、気象庁は「平成30年北海道胆振(いぶり)東部地震」と命名した。幾重にもえぐられた山肌に液状化した住宅街、繁華街の大停電。我々は想定外だらけの事態を目のあたりにしたが、まだ7年前の東日本大震災は終わっていない。その延長上で起きた災害だと指摘するのは、立命館大学環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏だ。

「地震には、東日本大震災のようにプレートが跳ね上がって起きるタイプと、今回の地震のような直下型があります。前者のタイプは、発生前後に内陸直下型地震を誘発するのが特徴で、北米プレートの歪みが残っている関東でも、北海道と同じ震度7クラスの地震が起こる可能性は十分にある。おまけに、プレート境界型の余震は10年ほど続きますから、関東地方は2021年頃まで要警戒なのです」

 加えて西日本エリアも油断は大敵。かねてより、「南海トラフ巨大地震」が懸念される地域ではあるが、

「今年になってから、静岡県西部の浜名湖あたり、三重県南部、紀伊半島の南端、四国南部などでマグニチュード3から4の直下型地震が確認されています。2年前の熊本地震や今年6月の大阪北部地震も内陸直下型で、プレート境界型である南海トラフ地震の前兆と考えられる。もう大地震は始まっているのです」(同)

 いつ何時、東京、名古屋、大阪の本州の3大都市を含む地域が、政令市である札幌のような惨状を呈してもおかしくないのだ。

 中でも、今回の地震被害で特筆されるのは、湾岸や埋立地特有の現象だとされていた液状化が、海とは無縁の住宅地で起きたこと。

 日本地質汚染審査機構理事長で、茨城大学名誉教授の楡井久氏にあらためて解説してもらおう。

「元来、北海道は火山灰が積もって地層が形成された土地。札幌市清田区界隈は、宅地造成のために切り土と盛り土で谷を埋めた場所でした」

 つまりは、自然の谷を人工的に土で埋めた状態で、

「人自不整合面と呼ぶこの境目には、地下水が溜まりやすい。ここに溜まった水が地震動で激しく揺さぶられ、水分を含んだ部分が滑り落ちて、液状化の次の段階、流動化が起きました。それで家屋が倒壊したのです」

 奇しくも地震発生前日には、北海道付近を、あの関空を高潮で水没させた忌わしき「台風21号」が通過。大量の雨を降らせて地盤をさらに緩くしていたのである。

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