たけし「スポーツ大将」がまさかの打ち切り なぜスポーツバラエティはウケないのか

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バラエティの見方が変化

 アスリートをゲストに迎えるスポーツバラエティは「スポーツ大将」にとどまらない。主な番組は以下の通り。

●「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系)日曜19:00〜19:57/MC:浜田雅功
●「さまスポ」(テレビ東京系)土曜18:00〜18:30/MC:さまぁ~ず

●「グッと!スポーツ」(NHK総合)火曜22:25〜23:10/MC:相葉雅紀

 特番では、

●「中居正広の5番勝負!超一流選手と真剣対決」(日本テレビ系)/MC:中居正広
●「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」(テレビ朝日系)/MC:とんねるず

 どういうわけか、このジャンルのMCは、お笑い芸人かジャニーズである。顔ぶれは豪華だが……。

「どれもパッとしないんですよ。特番の『スポーツ王』は9月2日に放送されましたが、視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)で、かつてより数字が取れなくなっているんです。来年以降は五輪に向けてスポーツバラエティもさらに増えると思うのですが、先が思いやられますね。むしろ調子がいいのは“スポーツイベント”です。この夏は『アジア大会』をTBSが連日中継していましたが、水泳や陸上など15%以上も珍しくなかった。そして第100回甲子園も決勝は20%近くいっていました。今後は『世界バレー』(TBS系)、『世界柔道選手権』(フジテレビ系)、『ラグビーワールドカップ』(日本テレビ系)と世界戦が続くので、こちらは高視聴率が望めると言われています」

 日の丸を背負った真剣勝負が人気なのは分かるが、かつて人気だったスポーツバラエティに人気が出ないのはなぜなのか。次世代メディア研究所の鈴木祐司氏はこう分析する。

「視聴者のバラエティ番組の見方が変わってきたことが言えると思います。80年代は『スポーツ大将』に代表されるスポーツバラエティは、芸能人や有名人を使って勝負させることでウケていました。『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』(TBS系)だって、スポーツとは銘打っていませんが、体を張った勝負モノがウケたんです。それが変わったのは90年代です。『進め!電波少年』(日本テレビ系)が92年にスタートし、松村邦洋(51)や松本明子(52)らがバラエティなのに本気で真剣勝負する“ドキュメントバラエティ”の時代となった。その流れは今も『世界の果てまでイッテQ!』にまで受け継がれています。イモトアヤコ(32)がエベレストやキリマンジャロ、南極に挑む姿は、手加減など一切ない。こうしたガチの真剣勝負をやられたら、まがい物では太刀打ちのしようがありません。『スポーツ王』にせっかく錦織圭選手(28)が出ても、デカいラケットを持たせたり、“リアル野球盤”では点差が広がると途中でルールが変わったり、延長になったりというのは、昔のバラエティの作り方。今の視聴者は娯楽にまで対時間投資効果、つまり、費やした時間が無駄でなかったかを求めるようになっている。暇つぶしのバラエティ番組では納得してもらえません」

 バラエティが真剣勝負ばかりになるというのも寂しいが……。

「そうはならないでしょう。本当のガチンコは、量産が難しいのです」(鈴木氏)

 そこで人気者をMCにした、お手軽なスポーツバラエティ――という悪循環に?

週刊新潮WEB取材班

2018年9月16日掲載

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