殺人的な炎天下での部活動、なぜ改善できない? “人命より規定”のインターハイ事情

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人命よりも規定が大事

 一部の陸上競技などは、競技時間が短いので負荷が低いという。それでも、高体連陸上競技専門部の三國一成事務局長は、

「今年のインターハイは陸上競技がスタートした8月2日に熱波が到来し、連日38度を超えた。私たちも競技が始まる1時間前に集まって、実施するか検討する毎日でした」

 だが、根本的な解決はできないと、こう話す。

「陸上競技はほぼ一年中大会が組まれていて、インターハイのような大規模な大会を、別の時期に移すのは事実上無理。生徒の授業のない休業期間中に行われる、との高体連からの縛りがあるので、なおさらです」

 高体連、すなわち全国高等学校体育連盟に質すと、

「高体連の大会は長期休業中に行うという規定があり、夏季大会については、8月1日から12日、および16日から20日までの間を原則とする、と定められている。夏の暑さは、私どもも重々わかっています。気象庁の警告も承知していますが、規定があるので、インターハイはこの時期にやらざるをえないのです」

 なんと、人命よりも規定が大事だというのだ。前出の高校教諭が言う。

「教師たちからも、真夏にサッカーなどの競技をすべきか、場所や時期を考えるべきじゃないか、という意見は出ます。でも、インターハイは大規模なので、次は沖縄、その次は群馬という具合に、5年先の開催地までほぼ決まっていて、行政も巻き込んで準備しているので引くのは難しい。競技の開始を早朝や夜に設定すると、 宿の対応が難しい。朝6時から試合だから4時に食事なんて無理ですので。結局、暑さは危険だと知りながら、WBGTを見つつ、いまのやり方を踏襲するしかないのが現状です」

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