殺人的な炎天下での部活動、なぜ改善できない? “人命より規定”のインターハイ事情

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観客席からも搬送者

 この学校はこうして“学習”したからいい。だが1週間後の7月26日、全国高校総合体育大会、つまりインターハイが開幕したのだ。題して「彩る感動 東海総体」。東海地域5県で30競技が行われ、監督を含め約3万6千人が参加。殺人的な猛暑の下で「感動」が「彩」られたという。

 さて、どう「感動」的だったのか。参加した高校教諭の一人に聞くと、

「たとえば静岡県藤枝市が会場だった女子サッカーは、1回戦が行われた8月1日の最高気温が34・7度。ただ、試合を行うかどうかは、いまは環境省が推奨するWBGTという数値を見て判断します。気温、湿度、輻射熱を組み合わせたもので、一般には、28超で熱中症が増えはじめますが、31未満ならいいというのがインターハイの内規。8月1日は試合開始の時間帯のWBGTが30だったので、試合は決行されたのです」

 結果、案の定というか、

「北海道の選手5人が試合後に熱中症の症状を訴え、うち2人が病院に搬送されました。2日目はWBGTが31を超えたのでキックオフの時間を遅らせ、患者は出ませんでしたが、その後も愛知と東北の選手1人ずつ倒れ、決勝戦後の表彰式でも、関係者のあいさつの途中で優勝チームの選手の気分が悪くなりました。観客席のご老人や応援の生徒も搬送されています」

 ちなみに、インターハイに出られるのは優秀者だけだが、その何倍もの数の運動部員たちもまた、熱波の下で練習や試合を強いられている。この状況を、指導者たちはどう捉えているのか。改善できないのか。

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