中国外交部による日本人特派員への“嫌がらせ”が酷すぎる 上司に脅しの電話も…

国際 中国

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米独には強気に出ない

――産経の記者に対する中国側の締め付けが厳しいのは、その論調から分からないでもないのだが、欧米の記者に対してはどうなのか。

福島:いや、産経だけではないですよ。もっとも朝日新聞の記者に対しては聞いたことがありませんけど……。ただ、アメリカやドイツの記者に対しては、中国もあまり強気に出ない印象が強いですね。かつて米通信社ブルームバーグの中国駐在記者全員がビザを更新できなかったときには、副大統領が習近平にサシで話をつけたように、国家の後ろ盾が強いんです。日本の場合、政府が中国に乗り込んでということはまずない。私たちも御上に守ってもらうつもりはないし、自己責任でトラブルに遭っても自分たちでなんとかするという意識でいますから。ただ、それだけに中国にとっては、日本人記者は攻めやすいところはあるかもしれません。

――だが記者本人が攻められるならともかく、取材協力者を攻められるのは辛いとも。

福島:中国農村部で売血によりHIVに集団感染した問題を取材したときには、取材対象者が当局に拘束され、2日間いたぶられるということもありました。それをやられたら記事には出せません。現地には当局を出し抜いて行ったつもりでしたが、村には「あの家は外国人を入れた」と密告する人もいるわけです。安全部、もちろん名乗らないのでわかりませんが、その関係者と思われる人から、私の上司に「表沙汰にしなければ不問にします」と連絡も入りました。記事にできたのは会社を辞めてからです。別の取材の仲介をしてくれた人の家が安全部に“訪問”されたこともありました。その方は祖父が軍属の比較的地位のある方だったので、逮捕されるということにはなりませんでしたが、「あなたは立派な家の人なのだから祖国のためになることをしないさい」とたしなめられたそうです。しかし、その方はこう反論したそうです。「中国は今、深い病にかかっている。これは外国人ジャーナリストにメスで切ってもらわないと。もう漢方で治る状態ではない」と。

 中国に報道の自由がないことはいうまでもない。

週刊新潮WEB取材班

2018年9月12日掲載

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