“携帯利用料は4割下げ余地あり” 菅サンの凄みは実現するか

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利益ゼロに

 もっとも政府も、傍観していたわけではない。

「総務省はナンバーポータビリティ制度の導入や格安携帯(MVNO)への乗り換えを推進し、3年前にも安倍総理が携帯料金の見直しに言及したことがあります。そのため、通信会社も割安プランを出すようになりましたが、スマホが主流になると、むしろ料金の高額化に拍車がかかってしまったのです」(先の経済紙デスク)

 今年、総務省が「楽天」に新たな通信事業者の免許を与えることになったのも、高止まりした料金を競争によって下げたいという狙いからだ。

 ところで、菅官房長官の発言が現実になれば、今の携帯料金より平均で3千円〜4千円安くなるが、そんなことが可能なのだろうか。

 ITジャーナリストの井上トシユキ氏によると、とりあえず考えられる手段は2つある。

「現在、通信会社は契約の際に端末の価格を基本料金に組み込んで割賦販売しています。これが本来は10万円前後するアイフォーンでも安く手に入るカラクリです。しかし、結果的に通信料を高くしてしまうため、これを止めて、端末と通信料の支払いを完全に分離させる。同時に『2年縛り』、『4年縛り』の契約を禁止することです。その結果、安い端末を使う利用者が増え、また、通信料も、相当安くなるはずです」

 ある外資系証券会社のアナリストによると、仮に携帯料金を4割値下げすると、通信会社の収入が約2兆6400億円減少し、通信業界は軒並み利益ゼロに陥るという。

 もっとも、安倍政権にしてみれば、通信会社の懐具合を気にしている場合ではない。来年10月、消費税を10%に引き上げると、約2・2兆円が新たに国民にのしかかってくる。総裁選を乗り切り、来たる参院選で勝つには、ここで税の痛みを和らげる「特効薬」が必要なのである。

週刊新潮 2018年9月6日号掲載

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