午前3時の北海道地震――熟睡中を襲う“大揺れの恐怖”にどう立ち向かうか

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停電とガラスの破片で室内も歩けず

 9月6日午前3時8分ごろ、北海道南部の胆振(いぶり)地方を震源とするM6.7の地震が発生した。命名は「平成30年北海道胆振東部地震」。苫小牧市と隣接する厚真町では震度7が観測され、大規模な土砂崩れも発生している。

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 他にも札幌市北区で震度5強、函館市や室蘭市などで震度5弱。発生時間から考えて、大半の人は寝ていたはずだ。激しい揺れで目を覚ました恐怖は、筆舌に尽くしがたかっただろう。防災システム研究所の山村武彦所長が解説する。

「日中に地震が発生し、なおかつ、緊急地震速報が流れたならば、少なくとも心の準備は可能です。これは馬鹿にできません。一方、睡眠中となると、速報に気づかないどころか、揺れで目を覚ますことも珍しくない。精神的なショックだけでなく、対応が後手に回るのが危険なのです。地震発生時の数秒が貴重な時間であることは言うまでもありません。起床時に速報に気づけば、例えば部屋のドアを開けることができます。自宅の損傷でドアが開かなくなる危険を回避できます。しかし深夜で熟睡しており、揺れで目を覚ました場合、事前の対策は何もできません」

 過去の事例を見てみよう。2011年3月11日午後2時46分に東日本大震災が発生し、翌12日午前3時59分ごろには長野県北部地震が起きた。長野県北部と新潟県中越地方でマグニチュード6.7。長野県栄村で観測された震度は6強だった。北海道胆振東部地震と極めて似ているわけだが、村役場の総務部に当時の状況を訊いた。

「寝ている時に巨大地震に襲われ、村民全員が恐ろしい思いをしました。ただ、不幸中の幸いだったのが、停電しなかったことです。村民は地震で目を覚まし、強いショックを受けましたが、電気はつきました。テレビで情報を得ることもできました。逆に大変だったのが、自宅内の散乱です。後に村民から地震被害を聞きとり、冊子にまとめたのですが、少なからぬ村民が『室内は酷い状況だった』と証言しました。それこそ、台所の棚から食器が飛び出し、ガラスを突き破ったそうです。室内のいたるところにガラスと食器の破片が散乱するわけですから、家の中を歩くのも困難でした」

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