2人の“九州のゴジラ”、“青森のドクターK” 第100回「夏の甲子園」怪物たちにつく値札

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2人の“九州のゴジラ”

 パワーヒッターとしては、“九州のゴジラ”松井義弥(よしや)も圧倒的な存在感を放つ。同じく1回戦で敗退した北福岡代表、折尾愛真(おりおあいしん)のサード。本家“ゴジラ”の高校時代と同じだ。取材にあたる地元記者によると、

「U18代表候補ではないものの、1年時からクリーンナップを任され、現在40本。九州大会には日米11球団が視察にきたほどです。生まれたときは4千グラムもあり、中学時点ですでに180センチを超えていたといいます。現在は191センチ89キロの体躯なのにとても器用なんです。投手をやれば140キロ以上の速球を投げるし、どんなポジションをやっても、動きにぎこちなさを微塵も感じさせません。最大の特徴はパワーで、ライナー性の130メートルのホームランを打てる選手はそうはいない。プロでも大成できる選手だと思います」

 台風上陸が間近に迫った7月下旬。そんな松井は、

「甲子園でも折尾らしく打って勝ちます!」

 と、学校内で宣言した。「3」「5」という野球部員の声が響く。みんなで坊主刈りにする“断髪式”の最中のことだ。数字はどうやら、「ミリメートル」のことらしい。大会前に九州のゴジラは青々としたアタマになり、

「松井秀喜選手のことは、ヤンキースで活躍していたころのプレーをよくテレビで見ていて、いまも尊敬しています。ゴジラと呼ばれるのは、率直に嬉しく思います」

 まっすぐなコメントをしてくれた。偉大なスラッガーに近づけるだろうか。

 実は、“ゴジラ”は九州にもう一人いた。鹿児島実業の頼れる4番、西竜我(りょうが)である。野球専門誌記者によれば、

「鹿実野球部も創部100周年。絶対に負けられない予選の決勝で、彼は満塁ホームランをかっとばしました。175センチ85キロでチーム一の巨漢。監督からは“西郷どん”と呼ばれ、チームメイトからは“西ゴジラ”と言われています」

 こちらも、チームは1回戦で敗退した。

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