次々明らかになるスポーツ界の「ガバナンス問題」 川淵三郎はどう戦ったのか

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いびつな構造にメス

 ややこしいのだが、バレーボール協会と日本バレーボールリーグ機構(Vリーグ)は別組織。しかし後者もまたアマチュアリーグで、観客動員やマーケティングの意識は低いのだという。

 そしてバレーボール界にとって大きな問題は、この二つの組織の関係性だ。

 サッカーの場合、日本サッカー協会の傘下にJリーグも全日本大学サッカー連盟、全国高等学校体育連盟などが属している。だからサッカー協会の決定に彼らは従う。

 ところが、バレーボールでは、日本バレーボール協会とVリーグは対等の立場。つまり協会が日本代表の試合や合宿スケジュールを出しても、Vリーグに従う義務はない。

「このいびつな構図については日本トップリーグ連携機構の会長になって初めて知ったのだが、明らかにおかしい。実際に、バレーボール協会の目が隅々まで行き届いていないために、あちこちで支障をきたしている。

 その一例を挙げよう。2017年夏にビーチバレーのワールドツアーに日本代表が出られないという事態が起きた。バレーボール協会がエントリーの申請を忘れたのだ。

 それだけでも信じがたい失態なのだが、それについて協会は、選手に簡単に謝っただけで公表せずにいた。対応があまりにひどいということで選手側が公表し、大会が終わってから報道され、世間に知られることになった。国際大会のエントリー申請を忘れるなんてありえない話で、明らかに責任問題である」

 競技団体がいい加減だと結局損をするのは真面目にやっている選手たちだ。それはここで触れたバレーや、最近注目のボクシングに限った話ではない。

 かつて不可能だと思われていたサッカーのプロ化を推し進め、Jリーグを発足させた川淵氏から見ると、このように「なっていない」ガバナンスの団体は数多く存在している。それだけに、80歳を超えた今もなお、こうした団体に対しては「黙ってられるか」とばかりに遠慮せずに言いたいことを言い、改革を進めている日々なのだという。

デイリー新潮編集部

2018年8月14日掲載

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