次々明らかになるスポーツ界の「ガバナンス問題」 川淵三郎はどう戦ったのか

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バレーボール協会の問題

 このような方針から、すでにいくつかの協会の改革は実行に移されている。『黙ってられるか』で特に生々しいのは、自身が関わったバレーボール協会の改革をめぐってのエピソードだ。川淵氏は、日本バレーボール協会を極めて特殊な存在だと感じたという。

「まず、2011年以降、会長が1期(2年)ごとに代わっている。会長だけでなく、強化部長や、協会の管理責任者である専務理事についてもそうだった。責任者が1期ごとに代わる団体なんて信用できないし、選手強化の方針がころころ変わっていたら話にならない。こんなバカな話があるかと、ガバナンスを全面的に見直すことを宣言した」

 きちんとした体制を築くため、まずは会長以下の幹部たちと会い、東京オリンピックまで現体制でやっていくことを確認したという。

「ところが、その後で信じられないことが起こった。協会の理事を決める評議員会で、会長だけ理事から外されたのだ。前代未聞の話で、本当に驚いた」

 要するに、よくある組織内の権力闘争の結果なのだが、ガバナンスを見直して2020年まで一緒に頑張ろうと約束した会長がいなくなってしまい、改革は最初から頓挫したのである。

 その後、川淵氏はさらに関係者の話を聞き、評議員会を刷新。ようやく新たなスタートに立ったのである。

世界大会でも赤字?

 協会のガバナンスを調べると、人事以外にも問題が見えてきた。一つは、日本でばかり行われる世界大会に関する問題だ。

「世界大会なのになぜいつも日本で行われているのか、不思議に思われたことはないだろうか。

 僕も常々それが不思議だったのだが、世界ではそれほど高く売れない放映権を、日本ではテレビ局が高く買ってくれるからだという。

 では、その放映権料のおかげでバレーボール協会が潤っているかというと、そんなことはない。通常は赤字の協会の決算が、大きな大会があった年には辛うじて黒字になる、その程度だという。

 国際大会は、バレーボール協会内にある国際事業部という部署が開催地の地方協会と連携して運営にあたることになっている。だが実際は、地方協会に丸投げの状態だ。営業も代理店に任せっぱなしで、観客が入ろうが入るまいがお構いなし。これまで、観客動員拡大のために策を講じたこともない」

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