TBSに思うこと――「石井アナの“睨み”」と「いらないW杯テロップ」(中川淳一郎)

芸能週刊新潮 2018年8月9日号掲載

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 TBSの石井大裕(ともひろ)アナが最近妙に気になって仕方がありません。番組の宣伝に登場するやたらとハイテンションの男性です。「カルメン第1組曲」に合わせて「お休み中、失礼します!」と頭を下げ、「本日のTBSは!」とガッツポーズを決めた後、夜の番組内容を紹介する様を見たことある方もいるでしょう。

 石井アナは平昌五輪の女子スピードスケート500メートルで小平奈緒が金メダルを取った後「闘争心溢れる、まさに獣のような滑りだったと思います」と表現し、「失礼な表現だ!」とネット上で大ブーイングを浴びた彼です。この時小平は若干苦笑しながら「まぁ、獣かどうか分からないんですけど、本当に躍動感溢れるレースができたと思います」と大人な対応をしていました。

 この石井アナ、「あさチャン!」にも出演してニュースを読みますが、脇で女子アナが喋っている間、彼はずっとカメラを睨みつけている。これが気になる。お前こそ「獣」だろ! いや、実際に睨んでいるのかは分からないのですが、観ているこちらからすると、石井アナと目が合い、睨まれているように感じてしまうのです。どんなセルフブランディングなのかよく分からず、「目力が強いオレ」をアピールしたいのかもしれませんが、単に目つきの悪い細い目の男にしか見えないのが哀愁漂っています。

 恐らく石井アナは、「これが自分のもっともイケてる表情」と思っていてあの睨むような目つきをしているのでしょう。人前に出る職業の人は、どの表情、どの角度だとカッコ良く写るかを分かっているものです。

 前アメリカ大統領、バラク・オバマ氏は基本的に写真に写る時は頭を右に傾け、目を細くして歯を出す表情をしていました。石井アナの「睨み」にも同じような意図があるのかもしれませんが、視聴者の中にはそれを見るのがイヤで毎度TBSの番宣が始まる度にチャンネルを変え、「あさチャン!」はなんとしても観ない、と考える人間もいることを知っておいてください。つーか、全国で私一人かもしれませんね。失礼しました。

 さて、話は変わります。サッカーW杯の中継について昔から思っていたことですが、正直NHKに全部中継してもらいたいと思いましたよ、今回も。とにかく中継権を獲得した局は、他の番組の放送中も試合の中継情報を常に掲出し、宣伝に励む。情報・ニュース番組でも、いかに自局が放送する日本代表戦が重要かを一日中流し続ける。おい、一般企業からはかなり高いCMオンエア料を取っているというのに、自社の宣伝は垂れ流しかよ! これは私が広告代理店の社員だった時代から常にモヤモヤしていたことであります。

 しかも、中継が始まると、今度は右上にテロップが出るのですが、「FIFAワールドカップ準々決勝 至宝ネイマールvs最強の黄金世代」や「FIFAワールドカップ準々決勝 怪物スアレスvs神童エムバペ」なんて長々と書かれるのです。

 両方ともTBSですが、こんな情報いるか? 朝の3時にテレビ観てる人間はこんなテロップなくても試合の見所なんて分かってますって。「分からない人もいるんです!」という民放の姿勢は視聴者をバカにした態度に他なりません。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
1973(昭和48)年東京都生まれ。ネットニュース編集者。博報堂で企業のPR業務に携わり、2001年に退社。雑誌のライター、「TVブロス」編集者等を経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』等。

まんしゅうきつこ
1975(昭和50)年埼玉県生まれ。日本大学藝術学部卒。ブログ「まんしゅうきつこのオリモノわんだーらんど」で注目を浴び、漫画家、イラストレーターとして活躍。著書に『アル中ワンダーランド』(扶桑社)『ハルモヤさん』(新潮社)など。