冷房つけっ放しorタイマー? 空調服or人間エアコン? 我が身 我が子を「熱中症」から守るのはどっち

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我が身 我が子を「熱中症」から守るのはどっち?(2/2)

 異常熱波に喘ぐこの夏に、知っておきたい「正解」集である。使い方次第で毒にもなる冷房から、屋外作業時に参考にしたいひと工夫まで、5つの問いに答える。

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【Q6 就寝中は冷房「つけっ放し」か「タイマー」か】

 もはや「自然との共生」では太刀打ちできまい。日中のエアコン稼働は不可欠だが、就寝中はどうか。とりわけ高齢者には、冷房の風を嫌う人が少なくないのだが、こと今年に限っては死を招くと言ってもよい。横浜国立大学教育学部の田中英登教授(環境生理学)が言う。

「夕方以降も温度が下がらないのが今年の特徴です。深い眠りを得るためにも、ぜひエアコンは活用してください。まず、寝る前に温度を25〜26度に設定して部屋を冷やしておき、寝る時に27〜28度まで上げ、2時間ほどのタイマー設定をするのがいいと思います」

 25度のままだと、身体の冷えがだるさや夏風邪を引き起こす危険がある。

「タイマーが切れると室温が上がって汗をかき、寝苦しくて起きてしまうと思います。そこで、扇風機を一晩中回して室内に気流を作り、体感温度の上昇を防ぎます。これで朝まで継続して眠りを確保できるのです」

 ただし、この方法は若い人や体力のある人向けで、

「連日、夜中でも25度を下回らない暑さです。50代以上の方は27〜28度に設定し、朝までつけっ放しにするのをおすすめします」

 まさしく命あっての電気代。医学博士で医療ジャーナリストの中原英臣氏は、

「熱中症の起こりやすい環境は気温30度以上、かつ湿度70%以上と言われています。室内の湿度が高いと汗をかきにくくなり、気化熱による放熱ができずにリスクが上がるのです」

 というのだが、エアコンの「冷房」「除湿」機能について総合内科専門医の秋津壽男医師は、

「除湿モードは時として室温が下がり過ぎることがある。梅雨の季節以外はあまりおすすめしません」

【Q7「ポータブル扇風機」「冷感スプレー」は】

 エアコンに限らず、利器はすべて活用すべし。それでも、使い方次第で身体を追い込んでしまうこともある。先の田中教授が言う。

「気流があれば湿度が高くても汗を蒸発させられます。ハンディサイズのポータブル扇風機もまた、風で汗を飛ばして熱を体外に出し、体温を下げてくれます」

 一方で危険なのは、

「肌に吹きつける冷感スプレーは、成分のメントールが感覚的に涼しく感じさせてくれるだけです。実際に体温は下がっていないのに涼しいと思って運動などをすると、脳が“今は涼しいんだ”と勘違いして必要な汗を出さなくなり、わざわざ高体温になりやすい状況を招いてしまうのです」(同)

 これを正しく用いるには、

「冷房が効いている環境で活動量も少なくなれば、おのずと体温も下がる。例えばサラリーマンの方が、外回りの仕事から27度くらいに設定された職場に戻ってきた時にスプレーするなど、補助的に使えば快適さを得られると思います」(同)

 錯覚は禁物である。

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