立ちはだかるコアストーン! 「西日本豪雨」復興までの遠い道のり

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民家直撃で被害拡大

 今回、広島や愛媛などで表層崩壊が多発し、大量の流木が下流に押し寄せた地域も多い。なかでも広島の被害は甚大だ。災害取材にあたる記者が言う。

「広島市安芸区や安芸郡熊野町、呉市内では住宅街に3メートル以上のコアストーンが転がっていました。特に酷かったのが熊野町で、家と同じくらいの高さ、直径で言えば10メートルはあろうかという大きさのものもありました。そしてもちろん、直撃で倒壊したと思われる民家も多かったです。消防団は、“こんなのがきたら家なんか木っ端微塵だよ”と言っていましたね」

 あくまでイメージ喚起のために挙げると、あさま山荘の鉄球が直径70センチ重さ約1・7トンである。あの何倍もある岩が建物に突っ込んでくるのだから、堪らない。

「早くどかしてあげたいと思っている。でも人手も重機も足りない」

 と、熊本から来て安芸区内で作業にあたっている自衛隊員が溜め息をつく。

「いまは人命優先。県内各地での瓦礫撤去作業や行方不明者の捜索が先だ。とうてい、コアストーンの除去までは手が回らん」

 そんな状況を、安芸区内の78歳の男性はこう語る。

「大きな岩やら水やらが押し寄せてきて家がぐしゃぐしゃに壊れた。もう住めないね。いまは避難所で寝泊まりしてるけど、広島市内の娘夫婦のところに世話になることにしたよ。そのへんに大きな岩が転がってるよな。忌々しくて憎たらしいから早く取り除いてもらいたいけど、いまはまだ行方不明者を探さないと。だから、仕方ないよ」

週刊新潮 2018年7月26日号掲載

特集「『西日本豪雨』暴虐の爪痕」より

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