「東京医大」裏口事件 「前川“奇兵隊”を逮捕」という東京地検の忖度捜査

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「臼井ファイル」

 贈賄側・臼井理事長についても触れておくと、

「自身は眼科医で、息子2人、娘1人も眼科医。東京医大のドンとか習近平とかプーチンとか、そんなふうに呼ばれてきました。08年に学長になって、13年半ばからは理事長を兼任。差し当たって学長の方は鈴木に譲っていますが、理事長職はやる気満々でしたね」

 と、さる関係者。これを踏まえれば、先のデスクが、

「特捜部は『臼井ファイル』という名の資料を、縦に積めば30センチほど集めたと言います。臼井ご用達の赤坂の料亭N、神楽坂の魚の美味しい料亭T、銀座のクラブSとか、そういうリストもあり、東京医大の裏口入学、それに対する臼井の関与を洗っています」

 と言うのもむべなるかな。今後の捜査については、

「任意捜査の段階で、臼井理事長側はバンザイして協力してくれているから、このまま、身柄は取らず在宅起訴の見込みです。理事長職も辞任したから、そこから先、例えば大学まで捜査の手が伸びることもないでしょう」

「反政府勢力」

 さらにこう続ける。

「“佐野は前川喜平一派だ、奇兵隊だ”と官邸は意図的に流していました。前川同様、政権に弓を引いた『反政府勢力』扱いで、省内の残党に睨みを利かせようっていう腹なんでしょうか。ちなみに奇兵隊という呼び名は、前川が自分の名前をもじってやっていたブログのタイトルなんですけどね。そもそも佐野は前川一派じゃない。前川とは次官と官房長という関係でしたから上司として褒めるようなこともありましたが、いなくなってからは、結構ボロクソに言ってましたよ」(先のデスク)

 検察の忖度については、

「安倍首相としては、ソリの合わない林(芳正)さんに大臣として頭を下げさせたっていうのは気持ちいいかもしれません。政権に累が及ばない事案ですしね。特捜にとってもタイミングはとても良かった。佐川前国税庁長官の案件を不起訴にし、何もやらない特捜部と一部で揶揄されている中、仕事やってますとアピールできる。森本(宏)特捜部長は法務省の刑事局総務課長を経験したこともあって、将来の検事総長間違いなしと言われている。今回の事件は総長就任時のプロフィールに華を添えることでしょう」(同)

 税金は空費、捜査は利用された形跡がないわけでもなく、俗な言い方だが、三方一両損でめでたしとは行かなかったようなのだ。

週刊新潮 2018年7月19日号掲載

特集「前川“奇兵隊”を逮捕という『東京地検』忖度捜査 Aランク大学の『裏口』ガイド」より

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