「東京医大」裏口事件 「前川“奇兵隊”を逮捕」という東京地検の忖度捜査

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義母の金銭トラブル

 佐野容疑者のプロフィールを駆け足で紹介しておこう。

「早稲田大学理工学部から大学院で修士課程を修了。1985年、当時の科学技術庁に入庁後、出向先の山梨大の副学長や大臣秘書官を経て、大臣官房総務課、会計課、政策課で、それぞれ課長を務めました」

 と、文科省担当記者。

「文科省は旧科技庁系の人数を1とすると、旧文部系は3と圧倒的に多い。ですが、佐野さんもやっていた官房長や次官はたすきがけでポストに就くものですから、科技庁系へのやっかみがないわけではない。佐野さんには同期にライバルがおらず、科技庁系の出世頭。3年したら次官になってもおかしくなかった。酒が強く、プライベートについては一切話さず、淡々と飲んでいるだけだそうで……。あと、文教族で大臣もやった小杉隆さんの娘婿で、それも出世には有利に働いたのかもしれません」

 小杉元文相については、本人というよりはむしろその夫人が世間の耳目を集めてきた。当時を知る永田町関係者に聞くと、

「奥さんが投資した会社が倒産し、借金を重ねたことがありました。土地を売ってもダメで夜逃げ状態となり、06年に債務総額14億円超で自己破産したのです」

 話はこれで終わらず、

「10年に支援者からカネを騙し取ったとして詐欺罪で逮捕・起訴。詐取額は1億8千万円で、懲役6年の実刑が確定。それが12年のことで、奥さんは少し前に出所したと聞きました」

 回転ドアで入れ違うように、義理の息子である佐野容疑者が拘置施設へ入ったことになる。当時、小杉夫婦の隣に住んでいた佐野容疑者は金銭トラブルの中身をよく知っていたし、溶けてゆくカネの重みを思い知ったはずだ。

 佐野容疑者は4年前、東京・麻布に新築された94平方メートルのマンションを手に入れている。周辺の相場から購入には1億5千万円ほど必要だったと見られるが、金融機関からの借金は5500万円。1800万円ほどの給与、退職金、その後の再就職に“渡り”を勘案すれば、善悪は別として、裏口入学用のカネを準備するのは難しくなかったはずだ。過去のトラウマで、預金通帳の額を少しでも減らしたくなかったという心のうちが覗く。

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