“西日本”レベルの雨が東京を襲ったら――荒川決壊で「赤羽駅」水没というシミュレーション

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被害総額「2兆円」

 なお、防災システム研究所の山村武彦所長は、河川の危険についてこう補足する。

「西日本豪雨では、大きな河川よりも中小の河川の氾濫が大規模な水害を招きました。東京でも、中小の河川が氾濫することによって、地下へ浸水して地下鉄がストップし、長期間運転休止になる可能性があります」

 いずれにせよ、西日本豪雨は首都機能を麻痺させる「威力」を孕(はら)んでいたと言え、その被害総額も途方もない数字になることは間違いないであろう。

 前出の和田氏はこう試算する。

「主に茨城県、栃木県、宮城県が被害を受けた3年前の関東・東北豪雨の被害総額は2896億円でした。西日本豪雨は被害地域の広さからその3〜4倍にはなるでしょう。加えて、被害の広域性によってインフラ復旧のための工期が長引き、復旧・復興にはさらなる費用が掛かることが予想されます。豪雨前の状態に戻すには、2兆円を要することになるかもしれません」

 山村氏も、

「私は今回、被災地に入って状況を確認しましたが、被害総額は昨年の九州北部豪雨の10倍くらいになると思います」

 九州北部豪雨の被害総額は2229億円。ということは、やはり2兆円超の計算になる――。

週刊新潮 2018年7月19日号掲載

特集「死者・行方不明者200人! 『西日本大豪雨』の教訓」より

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