株主総会の新主役「オアシス」 アドバイザーに「元金融庁長官」

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迂闊な対応は火傷

 6月21日開催のアルパインの株主総会でオアシスの要求は否決されたが、

「アルプス電気とアルパインは、オアシスが提出した議案の賛成率に衝撃を受けたはずでしょう」

 こう指摘するのは、経済誌デスクだ。

「アルパインの筆頭株主は、発行済株式の約40%を保有するアルプス電気。オアシスの保有はわずか9・7%ですが、株主総会でオアシスに賛同した株主は約3割に上った。アルプス電気とアルパインは今年12月に臨時株主総会を開く予定だが、統合承認には出席株主の3分の2の賛成が必要なので、勝敗の行く末はまだ予断を許しません」

 ひと昔前まで、外資系ファンドは真山仁氏の経済小説「ハゲタカ」に描かれたように手段を選ばず企業を食い物にする存在と畏怖されていた。が、オアシスをそれと同様には語れないという。ある電機メーカーの総務部幹部が解説するには、

「オアシスは金融庁が機関投資家の行動規範を定めたスチュワードシップ・コードに登録していて、企業との対話も重視している。また、オアシスの諮問委員会では日本人の大物弁護士がアドバイザーを務めているので、迂闊な対応をしたらこちらが大火傷します」

 いわば奥の院に座るその大物弁護士とは、日野正晴氏(82)を指す。

「東北大学法学部卒の日野さんは名古屋高検検事長を経て、初代金融庁長官を務めた輝かしい経歴を持つ。当然、法律は熟知しているし、霞が関に幅広い人脈がある。退官後は弁護士としてかんぽ生命などの社外取締役を務め、企業の内情にも精通しています。味方なら心強いが、敵にすると手強い存在です」(先のデスク)

 日野氏にオアシスのアドバイザーになった経緯を聞くと、

「弁護士の知人の紹介で就任しました」

 と、穏やかな口調で睨みを利かすのである。

週刊新潮 2018年7月12日号掲載

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