株主総会の新主役「オアシス」 アドバイザーに「元金融庁長官」

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 最近の株主総会の主役は、投資ファンドになりつつある。今年は村上ファンドの“残党”たちが鳴りを潜める一方、企業と対峙して存在感を示したのは外資系ファンドのオアシス・マネジメント・カンパニー(以下オアシス)だ。

 オアシスが香港で設立されたのは2002年。創設者で、最高投資責任者のセス・フィッシャー氏(46)はイスラエル国防軍に所属後、ヘッジファンドで7年間アジア企業を担当した経歴を持つ。あるファンドマネージャーによれば、

「オアシスが日本の株式市場で注目を集めたのは、パナソニックによるパナホームの買収。一昨年末、パナソニックが上場企業のパナホームを“株式交換”で完全子会社にすると発表したが、パナホーム株を約10%保有していたオアシスは“少数株主の利益が損なわれる”と異を唱えたのです。攻防の末、パナソニックが株式交換を断念して公開買い付けを実施した結果、オアシスは巨額の利益を手にしました」

 株式交換で企業買収を行うと、事実上、買収費用はかからないが、買収される企業の株主が安値で株を手放さざるをえなくなる可能性もある。

「株主総会シーズン直前、オアシスは東芝の子会社で稼ぎ頭だった東芝メモリの売却に反対したり、石油卸大手の出光興産と昭和シェルとの経営統合に賛成していました」(同)

 今回、なかでも目立ったのが大手カーナビ、カーオーディオメーカーのアルパインだった。

「電子部品メーカーのアルプス電気が、パナソニックと同じように株式交換でアルパインの子会社化を進めていました。これにアルパイン株を保有するオアシスが反対して、株主総会で2人の社外取締役の受け入れの議案を提出したのです」

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