スポーツ紙も一般紙も1面トップで「西野ジャパン」大絶賛はおかしくないか

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スポーツ紙より“ヨイショ”の一般紙

「西野マジック負けても2位 日本突破 史上初フェアプレーポイント決着 セネガルも敗れイエロー2枚差」

 名将の采配を「マジック」と形容することが許されるのは、自分たちの努力で奇跡を起こした時だけだ。同時刻にセネガルと戦っていたコロンビアの勝利頼みという他力本願な戦略に「マジック」という言葉を当てはめるのは、誤用と断じられても仕方がない。

 スポーツ紙は後でじっくりと検討することにして、先に一般紙を片付けよう。我々のような素人は「スポーツ紙のような専門紙ではないからこそ、距離を置き、冷静な報道ができそうだ」という印象を持つ。だが“現実は真逆”という社も少なくなかった。

 結果からお伝えすると、朝日、毎日、そして産経が、恥ずかしいほど“ヨイショ”な1面となった。逆に読売と東京が比較的、節度をもって報じた。政治面での主張で区分する時とは異なる面子になったのが面白い。

【朝日新聞】
「日本 決勝T進出 ポーランドに敗れ2位 逆風を力に みせた成長」

【毎日新聞】
「日本16強 2大会ぶり1次突破 『犠牲心』実結ぶ ポーランドに0−1の敗戦」

【産経新聞】
「日本決勝T進出 ブーイングの中 戦術で勝ち取る 2大会ぶり3度目 ポーランドに敗れ 反則数の差で突破」

 3紙のなかでは特に毎日新聞が恥ずかしい。終盤の無残な“ボール回し”を、記者も現地で直視したはずだ。にもかかわらず、「犠牲心」などという脳天気な言葉が1面を飾る。理解に苦しむと言わざるを得ない。

2面で急に批判的になったスポーツ紙も

 上の3紙の体たらくを噛みしめながら、比較的冷静だった2紙をご覧いただきたい。

【読売新聞】
「日本決勝T進出 ポーランドに0−1 『警告差』セネガル上回る 『負けて突破』終盤攻めず」

【東京新聞】
「日本薄氷 決勝T 警告・退場『フェアプレーポイント』上回る ポーランドに0−1 勝ち点・得失点差 セネガルと並ぶ」

 読売新聞も微温的なベクトルを感じるものの、最後の最後で「終盤攻めず」と見出しに打った。ここで意地を示した格好だ。

 最も正確な見出しだったのは、一般紙なら東京新聞だろう。「薄氷」という言葉を使ったことが報道姿勢の正しさを雄弁に物語る。その一方で、同じ系列紙の東京中日スポーツが酷い見出しだったのは、前に見てもらった通りだ。

 ではスポーツ紙に戻ろう。「姑息」と評したくなるのが日刊スポーツ。1面は必死にニュートラルを装っているのだが、そこからして小ずるい印象だ。

「西野日本 決勝T 負けても突破 貯金効いた 6人入れ替え不発 それでも2大会ぶり3度目」

 2面と3面で詳報するとなると、急に批判的になる。「総入れ替え攻撃陣不発」(2面)、「初主将 川島失点」(3面)――という具合だ。

賛否両論を意識した紙面なのかもしれないが、どうしても「アリバイ」という言葉が浮かんでしまう。賛にしても否にしても、腰が据わっていない。軽薄なのだ。

 逆もある。1面でニュートラルを装いながら、2面と3面で“ヨイショ”を加速させたのはスポーツニッポン(以下、スポニチ)だ。

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