スポーツ紙も一般紙も1面トップで「西野ジャパン」大絶賛はおかしくないか

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頑張ったサンスポと報知

 スポニチの1面から見ていただこう。

「西野JAPAN 2大会ぶり16強 W杯初!! イエロー2枚の差 ポーランドに0−1初黒星も 負けていても時間稼ぎにブーイング『本意ではないが 勝ち上がる上での戦略』」

 最後の部分、「負けても時間稼ぎ〜戦略』」は、いかにも言い訳っぽい。それも含めて煮え切らない印象の1面だが、2・3面は臆面もなく日本代表を礼賛する。

「決勝Tへ “逃げ切り”作戦成功 西野監督続投へ 攻撃陣不調…敗北覚悟で『警告の差&1失点』を守った」(2面)

「救った神様仏様川島様!! 汚名返上セーブ ミス連発2試合酷評から一転!! 世界がゴメンナサイ? 『ここまでチームに迷惑をかけてきたので、今日は自分が救う番だと思った』」(3面)

 確かにスポーツ新聞で、あまり批評的な見出しは好まれないのかもしれない。しかし、サンケイスポーツ(以下、サンスポ)とスポーツ報知は必死に頑張った。その努力は評価されるべきだろう。

「日本 2大会ぶり16強 イエローカードの差で救われた!! ポーランドに0−1もH組2位 セネガルと得失点差、総得点まで同じ」(サンスポ)

「日本決勝T!! 超ラッキー!! コロンビアありがとう 負けたけどFP(フェアプレーポイント)差 セネガルと勝ち点、得失点、総得点並ぶもイエロー枚数少ない!!」(スポーツ報知)

困ったときの“海外”頼み

 東京新聞の「薄氷」に比する表現を行ったのは、特にスポーツ報知だ。見出しにある「超ラッキー」は、紛れもない事実だと言っていい。

 もしコロンビアと戦っていたセネガルが同点に追いついていれば、西野采配は画餅に帰した。決勝リーグに進出したから賛否両論で終わっているが、予選で敗退していたら世界中から嘲笑されただろう。そして「コロンビアありがとう」も日本人の多くが頷く表現に違いない。

 こういう時、特に一般紙は、安易な方法でバランスを取ることがある。海外の批判的な報道を引用し、“我田引水”を目論むのだ。今回の報道では朝日新聞の「『あぜん』『ギリギリの判断』日本の戦いぶりに各国」(6月29日電子版)が代表例の1つだろう。

《北アイルランド代表のマイケル・オニール監督は英BBCの番組で「指導者として、別の試合で何が起きるかに運命をそっくり預けるとはあぜんとする。日本が好きになっていたのに、正直、次戦ではボコボコにされてほしいと思う」と突き放した》

 繰り返すが、賛否両論があって当然だ。オニール監督の指摘が、唯一無二の正論であるはずはない。ただ、日本の新聞に、こうした否定的な言及が非常に少ないのは、やはりバランスを欠いている。西野ジャパンに“忖度”した紙面構成だと言われても仕方あるまい。

週刊新潮WEB取材班

2018年6月30日掲載

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