「塀は前から傾いていた!」 大阪地震「小4女児」死亡の責任は

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市に責任

 亡くなった璃奈さんは両親と小学1年生の弟の4人家族。近所の主婦によると、

「三宅さん一家が、ここに引っ越してきたのは、璃奈ちゃんが生まれる少し前でした。お父さんはサラリーマン、お母さんはPTAで副会長を務めている。璃奈ちゃんは、とても明るくて、愛嬌がある子でした。ついこの間も、“おばちゃん、私、公文をやってるんや”と話しかけてきた。近所のみなに可愛がられていました」

 彼女の死の責任は、誰にあるのか。元検事の若狭勝弁護士に聞くと、

「塀が傾いたまま放置していたのなら、管理者である高槻市に、損害賠償責任が発生すると考えられます。その賠償額ですが、9歳の子どもで仕事をしているわけではないので、逸失利益の算定は困難。そのため、交通事故などの賠償額を基準に考えると、3000万円くらいが妥当な金額になるのではないでしょうか」

 一方、すでに市は塀が高さ制限を超えていたとして、建築基準法違反を認めているが、業務上過失致死での刑事事件化は難しいという。

「民事よりも、過失の認定に一層の厳格さが求められます。また、市という組織ではなく、誰が管理責任者なのかを特定し、その人が何をし、あるいは何をしなかったことで事故が起きたのかを明確にしなければならない。刑事事件化にはかなり高いハードルを越えなければなりません」(同)

 とはいえ、誰も罪に問われないようでは、璃奈さんも浮かばれまい。

週刊新潮 2018年6月28日号掲載

特集「天災と人災に揺れた『大阪大地震』」より

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