一発屋芸人が語る「僕たちはどう生きるか?」山田ルイ53世に“公開相談会”

芸能2018年6月20日掲載

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明るいジョイマン

そんなキンタロー。とは対照的に、あっけらかんとした明るさを感じさせるのが、「ナナナナ~」でおなじみのジョイマンだ。
イベントでも「ヨロシク、カケジク!」と韻を踏みながら登場し、『一発屋芸人列伝』で自分たちの芸を褒められた喜びを語った。

高木 正直言うとむちゃくちゃ嬉しかったんですよ。僕らのラップってめっちゃバカにされるんです。でも、男爵(山田)は「意味のない言葉を2つつなげることによって笑いが生まれる」って書いてくれたから。
山田 そんな風に分析されたら恥ずかしいのが、芸人として普通なんですよ?
高木 いやいや、韻を踏んだら拍手が来ることを望んでます。
山田 じゃあ、今日は理解のあるお客さんばっかりだから、その夢を叶えられるかもしれないよ。
高木 ニコール・キッドマン、イコール、コッペパン。気持ちいい、パクチー……やっぱちょっとむずがゆいですね。

はにかむ高木。ラップが披露される度に、会場からは「おぉ~!」とどよめきが起きていたが、それは感嘆か、あるいは困惑だったか……。

高木ばかりが注目されがちだが、ジョイマンはコンビ。その存在感の薄さをたびたび指摘されている相方・池谷は、この日も「ジョイマンのジョイマンじゃないほう」「純度の低いジョイマン」「池谷くんには関係ない話だから」などと言われ放題、挙句には「楽屋があることを知らされず直接会場入りしたが、誰からも声をかけられなかった」と哀しすぎる自虐エピソードを披露した。

“自虐”のパイオニア「ムーディ勝山」

一発屋芸人につきものの、この自虐ネタ。
実はこれを発明したのが、ムーディ勝山である。
「家族に仕事行くフリして公園でハトにエサやってた」「スケジュール表をマネージャーに頼んだら白紙のFAXが送られてきた」など一発屋界に「自虐」を持ち込んだパイオニアは、この日も磨き抜かれた自虐トークを炸裂させる。

最近、山田が足を怪我したという話題になるや、「僕は大きな怪我はしたことないですけど、心の傷は常に負っている」と応じたムーディ。

披露したエピソードはさすが本家本元、自虐マイスターの貫禄十分だった。
仕事量が激減したころ、ムーディは事務所の先輩・ケンドーコバヤシに誘ってもらい、芸人仲間で焼肉を食べに行ったという。

「おいしいなーって皆で飲んでたら、一人の後輩がメニュー表の「クエン酸サワー」を指して、『クエン酸って、疲れてる人ほど酸っぱく感じるらしいですよ』と余計なこと言ったんですよ。それで、全員でクエン酸サワーを頼むことになった。まず一番多忙なコバヤシさんが一口チビっと飲んだら「痛い痛い痛い!!! すっぱー!!」ってリンパを抑えながら叫んだ。僕の順番がやってきて、恐る恐る飲んだんですけども、水みたいな味がした」

一発屋芸人にかかると、本来喜ばしいはずの健康体でさえ、自虐のネタになる。
個性豊かな仲間たちを相手に、山田のトークも冴え渡った。
「僕はピン芸人やから……」とムーディ勝山がコンビの髭男爵を羨ましがるや、「いや、僕もピンみたいなもん。ひぐち君は舞台の目印やと思ってます。あそこに戻ればええんやって」と相方への愛ある(?)毒舌を展開。会場は何度も爆笑の渦に飲み込まれた。
それぞれ芸や目指す方向は違えども、一発屋という名のもとにおいて、彼らは強い絆で結ばれている。

「一発屋に、ルネッサーンス!」

イベントは、どこからともなく運ばれてきたワイングラスを手にした髭男爵・山田ルイ53世の一発屋の“再生”宣言で幕を閉じた。

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『一発屋芸人列伝』刊行記念イベント
6月4日「君たちはどう生き残るか」(八重洲ブックセンター)ムーディ勝山、キンタロー。、山田ルイ53世
6月5日「一発屋だって生きている」(STORY STORY新宿)レイザーラモンHG、ジョイマン、山田ルイ53世
上記のイベントの内容を再構成しました。

文・出来幸介

デイリー新潮編集部

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