「優香」の女優本格進出で蘇る“20年前の因縁” ライバルはあの元グラドル

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 20年の時を経て、“因縁の対決”が復活の構図である。女優業を本格化させる癒し系の租・優香(37)を待ち構えるは、あの黄色い軍団――。

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 1997年のグラビアアイドル・優香の登場は革命的だった、と振り返るのは、さるベテラン芸能記者である。

「AKB48がヒットしたことで、それに続けと各芸能事務所がつぎつぎとアイドルを売り出した現象がありましたよね。優香の時も“ホリプロ初のFカップグラビアアイドル登場”のキャッチで彼女を売り出してブレイクし、他のプロダクションでもグラドルをプッシュする風潮が生まれました。デビュー2年にして、テレビ・ラジオのレギュラーは6本。今のグラドルと比べても、いかに人気だったのかが分かるでしょう」

 一方、これに立ちはだかったのが、野田義治社長率いるイエローキャブだった。23歳で急逝した堀江しのぶや、かとうれいこ(49)、細川ふみえ(46)らを世に送り出したことでおなじみの同事務所、優香に近い世代では、98年に小池栄子(37)、99年に佐藤江梨子(36)がデビューしている。イエローキャブが席巻していたグラビア界に風穴を開けたのが、優香だとされる。

「実際は、優香のグラドルとしての活動期間は短く、2000年には水着を卒業していました。対して小池、サトエリは04年頃まで写真集を出していましたからね。肌を露出しなくなっても売れることがひとつの成功とすれば、グラビア対決は優香の“勝ち”だったといえるかもしれません」(同)

コケた優香の初主演ドラマ

 グラドルから脱皮し服を着た優香は、タレント、そして女優へとシフト。水着卒業直後の00年には早くもドラマに主演、トントン拍子でキャリアを積み……。と思いきや、そのドラマがコケてしまった。当時、写真週刊誌「FOCUS」(現在は休刊)は、以下のように報じている。

〈優香(20)が大ピンチだ。バラエティ番組やCMには今も引っ張りだこ。タレントとしての人気は相変わらずなのだけど、問題は初主演しているTBSドラマ「20歳の結婚」。あまりにお粗末、優香ひとりだけががなりたてるだけでドラマになっていないと、内外からブーイングの嵐。当然視聴率も低迷。〉(00年8月9日号)

 このドラマ、共演には米倉涼子(42)や宮崎あおい(32)、押尾学(40)と現在では考えられないキャスティングが興味深いのだが、それはともかく、優香の女優進出には早々にケチがついた。

「以降も女優の仕事をしていることはしているのですが、今日に至るまで、優香=女優というイメージが定着していないというのは、衆目の一致するところでしょう。対してサトエリはNHK朝ドラ『半分、青い。』のボディコン姿が話題になるなど、役者としてちょくちょく見かけますし、小池にいたってはベテラン女優のたたずまい。演技力に定評があり、ドラマ配役には引く手あまたですよ」(同)

 女優のリングでは、劣勢に追い込まれていた優香。だがここ最近、また風向きも変わってきたという。

「羊の木」での妖艶

 優香の評価が変わったきっかけは、5月26日に千秋楽を迎えた舞台「酒と涙とジキルとハイド」、そして2月に公開された映画「羊の木」での演技だという。まずは舞台について。先の記者が解説を続ける。

「作・演出は三谷幸喜さん。4年前の初演のときにも優香はキャスティングされていて、去年の『不信~彼女が嘘をつく理由』と2年続けて三谷作品に出演です。どうやら三谷さんは優香がお気に入りのよう。時にマンネリと批評されるくらい、気に入った役者を使い倒すタイプですからね。今後の三谷作品にも起用される可能性は大です」

 コメディタッチだったという舞台に対して、映画の方は妖艶な演技を見せていたそう。映画評論家の北川れい子氏は「上手く演じていましたね」と、「羊の木」の優香を評する。

「街で暮らすことになった元犯罪者たちの群像劇で、優香は夫殺しの過去をもつ介護士。露骨にいやらしいシーンがあるわけではないのですが、北見敏之(67)演じる老夫のケアをしながら、やがて情にほだされて……という展開を、観客に不快感を与えずに見せていました。まさにジジ殺し。中高年の男性だったら、自分も“介護されたい”と思うでしょうね」

 とはいえ北川氏は、映画女優としては小池栄子の方がお好みだそう。

「古い話になってしまうのですが、彼女が『接吻』(08年)で演じた死刑囚に惹かれるOL役は怖いし、重かった。印象に残っていますね。これでいくつも賞を獲り、女優として一気に評価されたんじゃないでしょうか。イーストウッド作品をリメイクした『許されざる者』(13年)での、虐げられた娼婦もいい。堕落した女を演じるのが上手。ハードボイルドな女っぷりが際立つ小池さんに比べると、優香さんには強烈なインパクトがないですねえ。これからでしょうか」

 旬の短いグラドルと違って、女優業は長い長い闘いである。不惑を前に、火蓋はようやく切って落とされた――。

週刊新潮WEB取材班

2018年5月日掲載

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