韓国大統領府が朝日新聞を「出入り禁止」の舞台裏 誰が記事に激怒したのか?

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「記事にしなくても……」

 産経新聞の記事にも「韓国駐在の外国報道機関に対する無期限の出入り禁止は初めて」とあるが、日本人にとっては事実を書いた海外メディアを閉め出してしまうのは信じられないはずだ。もし安倍政権が「反日的な報道を繰り返している」と中国・香港のフェニックステレビ(鳳凰衛視)を出入り禁止にしようとすれば、少なからぬ日本人が反対するだろう。

「舞台裏を明かすと、韓国も怒ってはいないのです。牧野さんの記事で激怒したのは北朝鮮です。アメリカと1対1で交渉していると思っていたら、裏で韓国が様々な画策をしていることが朝日の報道で明らかになってしまった。北朝鮮は韓国に『朝日新聞の記事に書かれていることは事実なのか!?』とねじ込み、韓国側は困り果てた。朝日新聞に訂正記事や詫び状を書かせれば、北に言い訳できる。しかし、朝日はそんな要求に応じるはずがない。そこで、苦し紛れに“出入り禁止”にした、というのが真相なんです」(同・専門家)

 北朝鮮に毅然とした態度を示すことができない。朝日新聞でさえ生け贄にして、やり過ごそうとする。ここらあたりに文在寅(ムンジェイン)政権の本質が潜んでいるのだろう。

 そもそも5月16日には、北朝鮮が、米韓両軍による定例の共同訓練「マックス・サンダー」を関係修復に水を差す「挑発行為」と非難。南北閣僚級会談の中止を一方的に発表し、文政権がショックを受けたことも記憶に新しい。

「その後、韓国政府は今月(5月)、米軍のB52戦略爆撃機との共同訓練『ブルー・ライトニング』への参加を見送っていたと報じられた。実は、これも北を刺激したくないとの思惑から決定されました」(同・専門家)

 もっとも、この専門家は苦笑しながら「文在寅政権のスタンスを考えれば、牧野さんは、韓国が米国に北の核物質などを国外に搬出させるよう提案したというネタを記事にしなくてもよかった」と言う。

「基本は米朝の会談です。北の非核化をしようとする中、韓国の提案は、ある意味、当然の話。本質的には米朝会談に何の影響も与えません。『それは事実だけど、それがどうしたの?』という内容ですよ。実際、朝日新聞の紙面では2段という小さな扱いでしたしね」(同・専門家)

 北朝鮮の言いなりになる文政権も問題だが、牧野支局長ほどの「大記者」がわざわざ記事にするほどの「ネタ」でなかったことも、これもまた事実のようで――。

週刊新潮WEB取材班

2018年5月28日掲載

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