「対馬ツアー」潜入で分かった“客”にならない韓国人 年間36万人が訪れるも…

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「731部隊」も

 比田勝(ひたかつ)港国際ターミナルの近くの食堂で昼食を取ると、温泉へ移動する。入浴を終えると観光客たちは三宇田浜海水浴場で海辺の散歩を楽しむ。澄み切った海水を見て皆感嘆の声をあげ、はしゃぎながら記念写真を撮っていた。

 ふと見ると、海水浴場の駐車場にはコーヒーを販売するミニバンが停まっていた。看板にはハングルで「プサンオンニ(釜山のお姉さん)」と書かれている。コーヒーを注文しながら女性店員に尋ねてみると、釜山から対馬に来て商売を始め1年半ほどになるという。小さな駐車場でも韓国人観光客たちがお金を落とすのは、やはり韓国人の経営する店なのだ。

 午後3時過ぎ。ツアーも終盤となりターミナル近くの「永山(えいさん)免税店」へ向かった。免税店に入る前にガイドはおススメの品を紹介する。皆がたくさん買って帰る土産の一つに医薬品があるという。その理由を聞いて、また驚いた。

「日本は医薬品が発達していますが、これは日本軍の『731部隊』という組織が満州で残忍な人体実験を通じて蓄積した知識によるものです」

「731部隊」は韓国で日本の悪行を語る時に登場する強力なコンテンツの一つだ。生きている人に人体実験をし、残忍に殺したという内容が飽きもせずに繰り返されている。こんな説明をされたら、日本製の医薬品に対して抵抗を覚えてもよさそうなものだが、なぜか皆、競って健康食品や医薬品などを買うのである。販売している店員も大部分が韓国人だ。

 午後4時過ぎ、比田勝港国際ターミナルは釜山へと戻る旅行客で混みあっていた。

 対馬は美しい島だ。何よりも流れる川や海の水が驚くほどに澄み切っていて、山は青々としている。

 多くの韓国人がこの地に来たがるのは当然だとも感じた。人口340万人を抱える釜山からわずか1時間ちょっと。しかもツアー代が約3万円なのだから、どの外国に行くよりも安い。対馬で免税品を買って韓国で売りさばくだけで交通・宿泊費の元が取れると言われるほどだ。余裕があればこの地に別荘を構えたいという誘惑にかられる韓国人がいることも理解出来る。対馬には韓国人を満足させるものが揃っているのだ。

 日本人の中には、対馬が韓国人の島になってしまうのではないかと心配する人がいる。実際、韓国では対馬で別荘を購入したい人や、対馬で民宿・飲食店を経営したい人のためのビジネスツアーも盛んだ。

 帰りの高速船でふと思い出した。私も含めて対馬の住民と語らったり、交流することがなかった、と。

 ***

崔碩栄(チェ・ソギョン)
ライター。韓国・ソウル生まれ。大学で日本学を先行し、1999年に来日。主な著書に『韓国人が書いた韓国が「反日国家」である本当の理由』(彩図社)、『「反日モンスター」はこうして作られた 狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社+α新書)など。

週刊新潮 2018年5月17日号掲載

特別読物「添乗員がとんでもガイド! 韓国発『対馬ツアー』に潜入したら……――崔碩栄(ライター)」より

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