添乗員がとんでもガイド! 韓国発「対馬ツアー」に潜入したら……

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東郷元帥が尊敬した「朝鮮水軍」将軍!?

 バスはやがて島の中央部にかかる万関(まんぜき)橋に差し掛かった。1900年に海軍が艦隊の通路として作った人工海峡であるという解説とともに、日露戦争や東郷平八郎元帥に話が及ぶ。いわく、東郷元帥は日本の軍神といわれるが、彼が尊敬していた人物がいる。それが、壬辰倭乱で朝鮮水軍を率いた李舜臣将軍である――という話だ。

 この話は日本人はあまり知らないだろうが、韓国人の間では有名な「都市伝説」の一つだ。

 日露戦争後、ある人が東郷元帥に「あなたはトラファルガー海戦のネルソン提督に匹敵すべき軍神である」と賛辞を贈ったところ、東郷元帥が「私に言わせれば、ネルソンというのはそれほどの人物ではない。真に軍神の名に値するとすれば、それは李舜臣であろう。李舜臣に比べれば自分は下士官にも値しないものである」と述べたというのだ。

 韓国人の自尊心を大いにくすぐってくれる逸話だが、残念ながらこれも根拠はない。そもそも東郷元帥が李舜臣の存在を知っていたかどうかすら確証はない。

 だが、そんなことは観光客にとってどうでもいいのである。異国・対馬で「偉大な先達」の足跡に接し、モラルが足りない日本人の話で盛り上がったのだから。

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(下)へつづく

崔碩栄(チェ・ソギョン)
ライター。韓国・ソウル生まれ。大学で日本学を先行し、1999年に来日。主な著書に『韓国人が書いた韓国が「反日国家」である本当の理由』(彩図社)、『「反日モンスター」はこうして作られた 狂暴化する韓国人の心の中の怪物〈ケムル〉』(講談社+α新書)など。

週刊新潮 2018年5月17日号掲載

特別読物「添乗員がとんでもガイド! 韓国発『対馬ツアー』に潜入したら……――崔碩栄(ライター)」より

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