「大塚家具」9四半期ぶりの黒字でも“金庫番”は退職 久美子社長の茨の道はまだ続く

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11億の特別利益は土地売却

 とはいえ9四半期ぶりの黒字である。それに無借金経営も継続している。これだけでも好転の兆しと見ることはできないだろうか。

「当期の純利益は1億96万円です。前年同期が8億1895万円の赤字だったので、9億円の改善ということになるのですが、黒字をもたらしたのは、不動産売却による11億7666万円の特別利益のおかげ。かつて勝久前社長が埼玉県春日部市に物流拠点を作るために購入した広大な地を売却したためです。その売却は以前のことで、あくまでも帳簿上、当期の利益に組みこまれたものだと思います。むしろ、本業である家具の売上高は、前年同期の102億円に対して当期は91億円に落ちています」(同・業界紙記者)

 これについて大塚家具は、

「固定資産売却益(11億7666万円)のうち、11億1800万円が春日部市の土地です。当該地で物流センターの開発を進めてまいりましたが、今年2月の完成後、同施設の使用について改めて社内で検討し、使用しないことを決定しました。16年に土地の名義は特定目的会社に移っておりますが、当社が出資しているため、会計処理上、土地代は長期預かり金として計上されておりました。売上高はまだ回復途上ですが、一部店舗では回復の兆しが見えてきております。また、提携法人販売やEC、コントラクトは堅調に推移しております」(大塚家具広報室)

 せっかく物流センターを作ったのに使用しないとは……。また、久美子社長は昨年(17年)12月期の決算発表では、東京五輪に向けたホテルの建設ラッシュで、年間60億円もの受注が見込めると言っていたのだが、いまだ「回復の兆し」というのだ。

「V字回復は無理だったみたいですね、売上が落ちているのですから。だから、金庫番で内情を最も知っている取締役常務執行役員の杉谷仁志財務部長(59)も居たたまれなかったんじゃないでしょうか」

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