ハーバード、スタンフォードに合格者続出 海外進学塾「ルートH」の秘密プログラム

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一人暮らし東大より安い学費、塾の月謝は…

「08年当初は受かるわけないとか、いろいろとネットに書かれていたんです。でも、こっちは本気でやっているし、我こそはという生徒が集まっている中、あとは結果を出して認めてもらうしかないと思っていました。1期生は3人で、それぞれハーバード、イエール、東大に合格。それで、あれこれ言われることもなくなった。5期生くらいまでは全員、私が面談をやっていたんです。その家の雰囲気、ご両親の教育方針、家族構成、生徒の生活ぶりを実際に見てみなければと、全国を回りました」

 どんな家庭?

「お父様が外資系の企業、金融などにいらっしゃる方、商社などを含めたメーカー勤務、そして大学の教授をされていたり。もちろん、普通のサラリーマン家庭の方もいらっしゃいますが、お父様が“世界を知っている”ケースが多いです」

 海外だからカネがかかって仕方ないのでは、という疑問はもっともだが、必ずしもそうではない。冒頭に挙げたハーバード、イエール、プリンストンなどは奨学金制度が充実しており、家庭の収入に応じて学費と寮費が決められる制度を導入しているからだ。年収でざっくり700万円以下の家庭は全額無料という計算だ。

「極論すると、一人暮らしで東大に行くよりも海外のトップ大学に行った方が安い。そこがまた優秀な学生を惹きつける理由でもあります。ウチの月謝ですか? 2万5000円です。もちろんまったく儲からない。年間で1人400万円ぐらいじゃないと無理ですね」

 と藤井本部長。ルートHはあくまでもフラッグシップ。単体で利益を出そうというわけではない。

「差し当たってルートHの面接はスカイプを通じてだったり、あるいは塾(東京・神田神保町)に来てもらって選抜しています。昔は結構問い合わせが多かったんですが、最近は本当に自信がある子の応募がメイン。中途半端なままルートHにいても授業についていけないというのは、所属している子たちがSNSで発信していますから。だいたい50人ぐらいと面接して、結果、15人ほどが入るという割合になります。生徒は全国に散らばっているので、授業はネット中継で行なわれることもあります」

受賞経験、エッセイも問われる海外大入試

 もちろん、生徒からのコンタクトは彼らが中学生や高校1年生の時からある。

「“覚悟を決めたらおいで”というような感じで話をしています。15人いたら10人くらいが高3の春に“決めました”とやってくる。残りの5人がそれよりも早い段階で、“僕、私、東大受けないんで、海外一本で行きます”という感じです。腹が固まっていなければ、こちらもどういうスタンスで接して良いのかわからないですからね。ただ、英語の勉強の仕方とか情報提供はしますが、その時点では2万5000円は発生しないですよ」

 海外大入試の流れは、

「まず問われるのは学校の評定平均値、TOEFLなどの英語力。最低100点ないと先に進むことは難しいでしょう。英検で言うなら1級以上に相当します。また、日本のセンター試験のような『SAT』の点数も求められる。日常生活では接しないような難易度の高い単語が出てきたりして。実際、アメリカ人が受けても思うように点が取れないレベルで、英単語の数で言うと2万~3万語は頭に入っている必要があります」

 もっとも、こういった類のテストは日本のいわゆる「塾メソッド」でも十分に対応できる。過去問分析→パターン化→演習→血肉化というやり方である。

「でも……」

 と、言葉を継いで、

「ここまでだと差がつかない。成績はほぼオール5、SATもTOEFLも満点に近いレベルで競っていますから。出し抜くとしたら次のステップ以降になる。そのひとつが、“成績以外にどんな賞を取りましたか?”という問いです。これはスポーツではなくアカデミックな分野に関すること。そして、それが国内なのか国際レベルかがポイントになります。世界には国際科学オリンピックや模擬国連……様々なコンテストがありますよね。そこに日本代表として出場するだけじゃなく、何かしら秀でたものがあるか否か。MIT(マサチューセッツ工科大)などでしたら、その国際科学オリンピックで金や銀メダルを取っていないと、後で説明する面接に進むことは難しい」

 そればかりではない。次はエッセイ。なかでも、共通願書のパーソナルエッセイは、「自分の失敗から得られた教訓」など、6つのテーマから1つを選び、エピソードなどを用いて自分自身を醸し出すのがポイントだという。

「分量はA4で1枚から1枚半、制限語数が650語。哲学としていることや挫折した経験とかを書いたうえで、“この子に会ってみたい、面白そうだ”と感じてもらう。“私はこんなにすごいんです”と書いても逆に、ちょっとセンスないなって思われたりもするんです。そういった独自性、人格、創造性を含め、個々のエッセイを指導していくことは、カリキュラムがあるわけではないので私たちも大変です。テストの勉強は自分でできるんですが、エッセイの場合はこれが正しいのかどうかという羅針盤がないから難しい」

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