「麻原彰晃をキリストにしてはならない」 元オウム大幹部・上祐史浩インタビュー

社会週刊新潮 2018年5月3・10日号掲載

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アーナンダの皮肉

 実際、公安調査庁のデータによれば、アレフにはここ数年、年間100人を超える信者が入信し、10億円近い資産を持つ。これが更に勢いづく、というワケなのだ。それにしても、麻原はなぜ“壊れた”のか。上祐氏は今の彼をどう見るのか。

「一言で言えば、子どもの世界に入っている。当初は法廷で弁論に応じていた麻原がおかしくなったのは、弟子たちが次々に自分から離反し、証言で彼の主張を崩し始めていってから。とりわけ、愛弟子であった井上(嘉浩・死刑囚)の離反は大きかったと思います。

 自分は救世主だと思っているのに、弟子が楯突いてくる。彼はそうした矛盾する現実を受け入れられなかった。その精神的ショックから、精神活動が低下してしまった――。普通の大人なら、自分に教祖として足りない部分があったから離反されたという『現実』を受け入れますが、彼はそこで子どものように逃げてしまう。そして、自分は被害者、周りは加害者という、いつもの世界に落とし込んでしまったのではないか。その意味では、事件時から今に至るまで、麻原の本質は何も変わっていないのだと思います。

 ちなみに、麻原は井上に『アーナンダ』というホーリーネームを付けましたが、実は仏典ではアーナンダは、釈迦牟尼の入滅の際、魔境に入り、その原因を作ってしまったとされている弟子。実に皮肉な結末ではないでしょうか」

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