取り違えを疑う母に、順天堂は「浮気の子供じゃないか」 “息子に会うまで死ねない”被害者母の告白

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「会うまでは死んではならない」

 ちなみに、順天堂の学是は「仁」だそうで、ホームページには〈人在りて我在り、他を思いやり、慈しむ心。これ即ち「仁」〉と書かれている。我を反面教師にせよ、と言いたいのか。

「自分のお腹を痛めた子はどこかにいて、関係ないのがこちらに来ている。義之も顔から性格まで私や次男と全然違うけど、私の本当の子も、引き取られた家で同じことになっているはずです。順天堂が言う〈平穏な生活〉なんて、あるはずないと思います。悪いのは病院。どれだけのダメージを与えられたかと」

 恭子さんはこう結んだ。

「本当の息子にはもちろん会ってみたいですよ。そのために一生懸命、健康に留意してここまで来ているわけですから。死んではならない、会うまでは死んではならないって」

 それでも、学校法人順天堂の小川秀興理事長は、本誌の直撃に、

「事故対策委員会に全部委ね、弁護士さんにもお願いしているので、なにも言えません。個人情報ですので」

 と、まるで他人事。そもそも記者は、個人情報など尋ねていないのだが。

 大学生になる小林さんの長男が語った。

「小学校でも、幼稚園でも、悪いことをしたらちゃんと謝ります。それさえしない順天堂は、病院という以前に人としてどうなの、と思います。個人的には自分の血筋を知りたいし、本当の祖父母も知りたいです。でも、なにより父を本当の親に会わせてあげたいと、強く思います」

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週刊新潮 2018年4月26日号掲載

特集「闇に葬られた『新生児取り違え事件』 厚労省をダシにした『順天堂大学』隠ぺいの証拠」より

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