都心で新築・3畳ワンルーム…超コンパクト物件が大人気のワケ

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スマホの与えた大きな影響

 そんな疑問を浮かべながら、不動産情報サイトやフリーペーパーを発行している「SUUMO」の副編集長・田辺貴久さん(36)に「3畳ワンルーム」が人気を呼んでいる理由を訊いた。

「やはり家賃を魅力的に感じる人が多いということですね。特に山手線の内側となりますと、6畳や8畳といった従来型のワンルーム・1Kの場合、家賃は月10万円を越えるものも多いです。それが3畳や5畳といった超コンパクトタイプのワンルームでは10万円を切ります。しかも、間取りは隅々まで計算が行き届き、家賃のために我慢する生活どころか、狭さに快適さを感じるような仕掛けが施されているんです」

 押し入れの中や、カプセルホテルに落ち着きを感じる人は決して少なくないはずだ。京都といった有名観光地で宿泊する際も、シティホテルではなくビジネスホテルを選ぶファンも存在する。人間、広いから安らげるとは限らない。

「例えば玄関は極めて狭いです。それでも複数の靴を持っていても大丈夫なように、シューズラックは備え付けてあります。あまり人気のない風呂、トイレ、洗面がセットになった3点ユニットではなく、バス・トイレは別で、しかも洗浄機能付きのタイプを採用している物件が多いです。お風呂はバスタブのないシャワーブースですが、一人暮らしの人の多くは湯船に浸からないのでかえって合理的かもしれません。それでも洗面台やキッチンと合わせると、3畳の居住スペースより、水回りスペースの方が広いかもしれないと思うほど、しっかりと整備されている。つまり安かろう、悪かろうという物件ではないのです」(同・田辺さん)

 ロフトが備え付けてあるタイプであれば、居室とは別に寝る場所も確保できる。さらに若年層を中心に、住む側のライフスタイルが変化していることも、人気を後押ししているようだ。

「例えば80年代や90年代なら、一人暮らしをする大学生や新入社員はテレビ、ステレオ、本棚を必要としたと思います。2000年代からはパソコンを購入する若者もいたでしょう。ところが現在はスマホ1台があれば、そうしたニーズは満たせます。断捨離やあまりモノを持たないいわゆるミニマルライフがブームになっていることも象徴的ですが、若年層が身軽になったことで、居住スペースが減少しても大丈夫だということでしょう」(同・田辺さん)

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