「石破茂」が吼えた! 「“安倍加憲案”は禍根を残す」

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 自民党は何かを決定するとき、拍手で決めることが多い。「そろそろ意見も出そろいましたので、ここらで一任するべきじゃないですか」という声が出て、すかさず賛成派から一斉に拍手が起きる。今回、改憲案が細田本部長(博之・憲法改正推進本部長)に一任されたのも、まさにこれでした。

 しかし、改憲という戦後の一大事業まで、拍手で済ませていいのでしょうか。私に言わせれば、大事な憲法改正なのに、意見の異なる者同士の激しいやり取りがなかったのはおかしい。党内での議論は、ほとんどなかったのです。だから、本部長一任には、納得できませんでした。

 安倍総裁としては、先日行なわれた党大会までに改憲案をまとめたかったのでしょう。そうしないと、森友学園の文書改ざん問題で求心力が落ちたとマスコミに叩かれかねない。本部長一任を急いだのは、そういうことだったと言われても仕方ないのではないか。

〈3月22日、自民党の憲法改正推進本部は改憲案の取りまとめを細田博之本部長に一任することを決めた。急な決議に何人かの議員は「ちょっと待った!」と抗議の声をあげたが、すぐに「一任!」の声とともに拍手でかき消されてしまう。細田氏が進めようとしているのは、憲法に「9条の2」を新設し、自衛隊を明記するというものだ。だが、石破氏はこれこそが矛盾だと吼える。〉

 ご存じのように、今回の改憲案は昨年5月、安倍総裁が突如「現行の憲法9条はそのままに、自衛隊の存在を書き加える」という「加憲」案を読売新聞で示したことから始まります。しかし、あの記事以前に自民党内で「加憲」が議論されたことは全くなかった。私は当時の保岡興治本部長に「総裁は党員に詳細を説明するべきだ」と求めたのですが、今回の一任決定まで、説明の機会は一度もありません。

 若手議員にすれば、細田先生は総裁の出身派閥の長だから、怖くて何も言えないのでしょう。今回、「手続きがおかしい」と声をあげたのは、ほとんど石破派。しかし、内心反発している議員は他にもいるはずです。なぜなら、今回進めようとしている加憲はロジックとして明らかにおかしいからです。

 安倍総裁が改憲を目指す理由は「憲法学者の中には自衛隊を違憲だと言う人たちがいる。それは自衛官に失礼だから、憲法の中に自衛隊をちゃんと位置づける」というもの。しかし、今や国民の9割は自衛隊を評価しているんです。政府の立場も自衛隊は合憲であると一貫している。むしろ、おかしいのは、国民も政府も自衛隊を認めているのに、憲法9条をそのままにしていることなのです。

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