「金正恩」電撃訪中、その狙いは 日本外交の敗北

国際週刊新潮 2018年4月5日号掲載

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 日本国民が“佐川”証人喚問に熱視線を注ぐ中、電撃的な訪中だった。

 外信部記者が言う。

「北朝鮮の要人を乗せたとされる21両編成の特別列車が3月26日、北京駅に入ったことが確認されています。当初は要人について、金正恩氏の妹の与正(ヨジョン)氏、金永南(ヨンナム)最高人民会議常任委員長の可能性も取沙汰されました」

 その要人は駅に敷かれていた赤絨毯を踏みしめ、黒塗りの車へ乗りこむ。ものものしい警護の中、パトカーに先導された車列は30台から40台。最後尾には救急車がついていたという。

 関西大学の李英和教授によれば、

「父である金正日総書記が訪中する際も、緊急事態に備えて、救急車を同行させていました。ロイヤルファミリーへの警備態勢と見て間違いないでしょう」

 一部報道では、いち早く要人を金正恩その人と伝えた。2011年に北朝鮮を掌握してから、初めての海外訪問となるが、その狙いとは一体何か。

「5月にも予定されている米朝首脳会談に向けて、中国という後ろ盾を得ようとしているのです。最近、アメリカではポンペオ新国務長官、ボルトン新大統領補佐官、といった対北強硬派の人事が目立ちます。中国を引き入れることで、交渉を優位に進めようということでしょう」(先の記者)

 本国の苦しい台所事情もあるようで、

「中国が北朝鮮への原油輸出を制限していることで、現在、北朝鮮は年間50万トンほどしか原油を輸入することができません。自衛隊ですら年間150万トンの石油を消費するので、北は軍を維持することすら危うい状況なのです」(同)

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