仏サンジェルマンに進出 合羽橋「和包丁」老舗の切れ味

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 セーヌ左岸サンジェルマン地区。レ・ドゥ・マゴ、カフェ・ドゥ・フロールなどサルトルやボーヴォワールが通い詰めたカフェが並び、エルメスやルイ・ヴィトンといった高級ブランドも点在する、パリの中でも一際オシャレな町だ。

 一方、日本は浅草の合羽橋(かっぱばし)、いわずと知れた食器、料理器具の問屋街。その合羽橋の料理道具店「釜浅商店」が、5月、“食の都”のそのサンジェルマンに直営店「KAMA-ASA」を開業することとなった。

 創業は1908年(明治41年)。老舗中の老舗がなぜわざわざパリに?

 出店を企画した4代目店主、熊澤大介さん(43)に理由を聞いてみると、

「ここ数年で、店に驚くほどたくさんの外国の方が訪れるようになったんです。多い時で日に100人ぐらいでしょうか。包丁や手打ちの鍋など日本製の料理器具が、その丁寧な作りから興味を持たれるようになりました。うちは多少値が張っても良い器具しか扱わない。それが口コミで広がったようです。中でもフランスの方が多かった。聞くとミシュラン星付きを含め、パリの20軒以上のレストランで私どもの道具を使ってくれているとか。ならばいっそと、出店を決めました」

 切れ味も、“トレビアン”なのでしょう。

 サンジェルマン地区は、ミシュラン星付きの瀟洒なレストランも多く集まる場所。そこに面積およそ20平方メートルの店舗を構える。和包丁はじめ200種類からの包丁ラインナップ、他にも南部鉄器やまな板、行平鍋など約130品目を扱う。価格としては、包丁で150ユーロ(約2万円)ほど。年商5000万円を目指す。

「4年ほど前からすでに5回ほど、現地で期間限定のお店を開き、感触を窺っていました。折からの和食ブームも背景にあり、皆、日本製の料理道具に興味津々。十分な手応えを感じました。昨年、現地法人『カマアサフランス』を設立し、満を持してのオープンとなります」(同)

 ボンジュール・パリ!

週刊新潮 2018年3月29日号掲載

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