臓器が“カリカリ”になっても自覚症状なし… 「がんの王様」の恐ろしさ

ドクター新潮 医療 がん

  • ブックマーク

Advertisement

「夏八木勲」「星野仙一」各氏らも…

 一方、俳優の夏八木勲氏(享年73)が、すい臓がんを宣告されたのは12年11月のこと。当時、夏八木氏はドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(フジテレビ系)の撮影中だった。

 元マネージャーによると、

「当時、夏八木がどこか具合が悪いと話すことはなく、私も全く分かりませんでした。ただ、何となく痩せてきているという感じはあった。それがドラマの撮影中に体調を崩し病院に検査に行ったのです。そこで、すい臓がんであることが分かりました」

 彼の場合も進行がんだった。手術で延命できる可能性もあったが、それでは、やりかけている仕事の目途が立たない。病魔に侵される身体をおして、夏八木氏は出演を続けた。ドラマの葬儀のシーンでは、「良い予行演習になるから」と冗談めかして棺に入って見せたりしたこともあった。

 亡くなったのは翌年5月11日のこと。告知からわずか半年である。まだ、2本の映画出演が残ったままだった。

 すい臓がんは人に時間を与えてくれない。

 最近の例を見ても、1月に亡くなった野球解説者の星野仙一氏は、急性すい炎からすい臓がんが発覚、わずか1年半ほどで亡くなった。また、作家の葉室麟氏(17年12月死去)、元横綱・千代の富士(16年7月死去)、歌舞伎俳優の坂東三津五郎氏(15年2月死去)など、すい臓がんは、発症から亡くなるまでの時間が圧倒的に短いのだ。しかも、近年、この病気による死亡者数がじわりと増えているのをご存じだろうか。

 日本人の3大がんといえば、肺がん、大腸がん、そして胃がんだが、これに迫っているのが、すい臓がんだ。統計によると、すい臓がんの死亡者数は肝臓がんを抜いて3万人を突破。女性で3位、男性で5位と「がん死」の上位に食い込んできている。

 なぜ、すい臓がんで命を落とす人の割合が増えているのか、その理由に迫ってみる。

次ページ:発見した時は「手遅れ状態」

前へ 1 2 3 4 次へ

[2/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。