嘱託殺人? 「西部邁」入水を疑う捜査一課 第三者が協力か

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完璧でありたかった

 西部氏は亡くなる前、長女と酒を飲み、新宿三丁目の交差点で別れたことは前述したが、

「西部さんの足取りはそこでぱったりと消えている。1人で多摩川に向かったのなら、タクシーなどを使ったはずなのに、そうした痕跡が全く出てこない。警視庁は、誰かが車で現場まで連れて行ったのではないか、とみています」(同)

 いずれにせよ、その協力者は西部氏の思想に完全に共鳴している人物に違いなかろう。

「西部さんは政治家からヤクザ、右翼まで幅広く付き合いがあり、協力者を見つけるのは難しくなかったはず。また、学生運動を一緒に戦った仲間とは最後まで親交を持っていた。そのうちの1人は極左過激派の大物で、50年以上、表の世界に姿を現していないのですが、ある時、その人の奥さんを紹介されたことがある。西部さんの人脈には、そういう得体の知れない部分がある」(古い知人)

 西部氏が亡くなる直前に酒を飲んでいた文壇バーのママが言う。

「お葬式の時に見た西部さんの顔には本当に傷一つついておらず、静かに眠っているようでした。苦しんだ様子や表情の歪みもなかった。それを見た時、最後の最後まで完璧でありたかったのかなと思いました」

 西部氏は生前、口癖のようにこう言っていたという。「死に方は生き方だ」――。

週刊新潮 2018年3月22日号掲載

特集「『西部邁』入水を嘱託殺人と疑った捜査一課」より

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