武術家が指南する長生き健康法――全身のバランスを整える「五行の気」とは

ライフ週刊新潮 2018年3月15日号掲載

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武術家3人が指南! 万病を遠ざける「長生き健康法」(2)

 格闘技と違ってスタミナは求められず、不健康な筋力増強は不要……。中高年と武術は、実は相性がよいのだという。武闘家3人が、簡単に取り組める武術を指南する。第2回の今回は、BUDO-STATION主宰の山田英司氏に、全身のバランスを整える「五行の気」について学ぶ。

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 私は日本に初めて中国拳法を紹介した松田隆智(りゅうち)先生の内弟子でした。その兄弟子の蘇イク彰(そいくしょう)先生が「五行の気」という気功法を伝えています。古来脈々と受け継がれてきたこの秘伝の武術をお伝えします。

 五行とは身体の各部のことで、肺、腎、肝、心、脾の5つの機能を効果的に使います。これらはそれぞれ金、水、木、火、土に対応します。五行の運動は身体の各部に刺激を与えるので、体がバランスよく鍛えられ、調子がよくなります。また、これらを素早く行うと、ラクに強い力を生み出せるようになります。

 いま行われている気功法は、文化大革命後に生まれたものが多いですが、古来の気功法はもっと地味で、着実な効果があります。私も中国拳法で五行の気を習得後、若い相手と組み手をしても負けなくなりました。5つの型を覚えましょう。

 最初は肺(金)の気を鍛える「白猿献果(びゃくえんけんか)」。(1)肩幅より少し広く両足を広げて立ち、肺に連動している薬指を左右に引っかけたまま両手をまっすぐ正面に突き出します。このとき、薬指でつないだ掌は向こう側に向けます。(2)次に背筋を伸ばして腰を少し落とし、突き出した両手を下げ、薬指をつないだまま、両手を首元までゆっくり運びます。(3)最後は差し出す動作。両手を初めと同様、掌を向こうに向けながら、ゆっくりグッと突き出します。このときあごを引き、曲げていた膝を伸ばし、息をゆっくり吐いてください。

 その際、意識したいのは肩甲骨で、(2)のとき、腕よりも腕の付け根の肩甲骨から動かすように意識してください。最後に突き出すときも、肩甲骨が内側に寄るのがわかると思います。肩甲骨の動かし方、背中のしならせ方が身につくと動きに無駄がなくなり、素早くパンチを繰り出せます。

 私がタバコを吸うのにスタミナが切れないのは、この横隔膜の運動で、肺を鍛えているからです。

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