「森友文書改竄」で“公文書管理法の生みの親”福田康夫元首相が怒髪天

国内 政治

  • ブックマーク

Advertisement

福田元首相は安倍首相の3選を支持?

 これほどまでに情熱を燃やした法案を、財務省を筆頭とする“第2次安倍政権”が踏みにじってしまったわけだ。福田氏の意志を継いで公文書管理法を成立させた麻生氏が現在は財相というのも、因縁を感じる。安倍首相に対して福田氏が怒り心頭に発したとしても全く不思議はない。

「福田さんも安倍さんも所属派閥は、岸信介派や福田赳夫派を源流に持つ『清和政策研究会』です。さらに清和会の小泉純一郎さん(76)が首相だった時、福田さんも安倍さんも官房長官として女房役を務めました。同じ釜の飯を食い、同じポジションを経験したわけです。だからこそ今回の公文書書き換え問題で、福田さんは安倍さんに怒り心頭だそうですよ。ある派閥幹部に『公文書に嘘やごまかしがあれば、国家が成り立たなくなる。安倍政権は何をやっているのか』と話していたそうです」

 福田元首相は安倍首相の3選を支持した、という逆の報道もあった。今年2月、産経新聞は「福田康夫元首相『3選でも4選でも』 安倍晋三首相・自民党総裁の党総裁選3選めぐり」(2月28日・電子版)との記事を掲載した。そこには以下のような一説がある。

《福田康夫元首相は28日、東京都内で講演し、9月の自民党総裁選での安倍晋三首相(党総裁)の3選の是非について『いいんじゃないですか。しっかりした人が出てこないんだったら3選でも4選でもしたらいい』と述べた》

「自分自身を客観的に見ることができる」

 ところが、この講演を聴いていた別の政治記者は、記事とは全く違う、むしろ正反対と言っていいニュアンスを感じ取ったという。

「発言そのものは、産経新聞が書いた通りです。ですが、喋っているトーンは真逆の印象でした。『どうぞ3選してください』という肯定的な要素はゼロで、もっと冷たく、突き放した口調でしたね。少なくとも私は福田さんの発言を『3選したければ、勝手にすれば』が本音だと受け止めました。『福田さんって、やっぱり安倍さんのことが嫌いなんだろうなあ』と腑に落ちたほどです」

 実際、いわゆる“ネトウヨ”的な人々は福田元首相を「媚中派」として批判する傾向がある。岸信介(1896~1987)に仕えたのが福田赳夫(1905~1995)だが、孫と息子の2人は、むしろ水と油と見たほうがいいのかもしれない。

 その証拠に、福田氏は安倍首相を痛烈に批判している。17年8月に福田元首相は共同通信のインタビューに応じ、東京新聞が「官僚が官邸の顔色見て仕事 福田元首相 安倍政権批判」との記事タイトルで報じている。その中に次のような一節がある。

《中央省庁の公務員の姿勢について「官邸の言うことを聞こうと、忖度(そんたく)以上のことをしようとして、すり寄る人もいる。能力のない人が偉くなっており、むちゃくちゃだ」と指摘。「自民党がつぶれる時は、役所も一緒につぶれる。自殺行為だ」とも述べた》

 福田元首相は退任時の記者会見で「私は自分自身を客観的に見ることができるんです。あなたと違うんです」と発言して波紋を呼んだ。

 当時は「記者の質問に逆ギレした」と受け止められたわけだが、本当は単に事実を発言しただけなのかもしれない。自分を客観視できるなら、それ以上に他人は冷静に見つめられるだろう。先のコメントは“予言”と評していいほど正鵠を得ているが、その客観視によって福田元首相は、安倍政権の“終わりの始まり”を予測しているのかもしれない。

週刊新潮WEB取材班

2018年3月14日掲載

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。