駆出しの「タモリ」とイベント共演、会場から逃走 「せんだみつお」が語る昭和のスター列伝

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ネアカとネクラ

――そこに数年後、タモリさんが加わったわけですね。

せんだ:そうなんだけど、番組側から僕たちレギュラー陣に何の紹介もなく、タモリさん自身からも特に挨拶もなく、リハーサルしに行ったら黒のアイパッチにタキシード着た人がいたんで驚いたの。みんなで「あれはいったい誰だ!?」って。で、タモリさん、後に話題になる4カ国語麻雀とかね、いわゆるマニアックな“密室芸”をやるんだけど、僕にはそのおもしろさがよくわからなかったんだよね。

――タモリさんの十八番の形態模写とかも、せんださんの琴線にはそれほど触れなかったんですか?

せんだ:おもしろくないっていうよりは、僕とは違うと思った。ほら、向こうは赤塚不二夫さんや山下洋輔さん、黒柳徹子さんなんかのインテリジェンスが高い方たちのお眼鏡にかなって出てきた人だけど、僕はドンチャン騒ぎ系だからさ、笑いの質がまったく違ったんだよね。明るい暗いでいったらバカ明るい人ではなかったし、そのあたりも対照的だった。

――せんださんは根っからのラテンですからね。

せんだ:楽屋でもさ――そうなの、それまで僕とデストロイヤー(プロレスラーのザ・デストロイヤー)の2人部屋だった楽屋にタモリさんが入ってきて3人になったんだけど、それはもの静かな人だった。そこに座って淡々と、僕がガンガン繰り出す下ネタに軽蔑の目を向けつつ静かに笑うみたいな(笑)。

 デスは楽屋では覆面を取ってるんだけど、取るともう誰だかわかんないくらいふつうの人なんだよ。いってみれば、そこらへんの大工のおじさんみたいな感じ。

――ラテンなせんださんと下ネタを静かに冷笑するタモリさんと大工のおじさんですか。とんでもなくバラバラな図ですね!

せんだ:でも楽しかったよ。タモリさん、静かだったとはいっても嫌味のない人だから、すぐに僕らと打ち解けたしね。ただ、テレビにまだ慣れてなかったこともあってか、どこか顔に不安をよぎらせていたのも確かでね。これから自分の将来、どうなるんだろう……って感じで。まあ結局、あちらは大成功してね、いまはこっちが不安なんだけどね。ナハ……。

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