笑福亭鶴瓶の知られざる顔(3) 反骨のチンチ○

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

露出の原点

 笑福亭鶴瓶といえば、ときどきテレビで体の「見せてはいけない部分」を見せてしまう人、という一面があることはよく知られている。しかし、この「露出」の歴史も、彼の反骨心を起源としているということは意外と知られていない。

 笑福亭鶴瓶こそが最強の芸人だ、という仮説をもとに一冊丸ごと鶴瓶の魅力を論じた『笑福亭鶴瓶論』には、「露出の原点」とも言うべき事件が詳述されている。

 それは1975年に放送された『独占!男の時間』(テレビ東京)での出来事だった。

 番組の演出では、こういう流れになっていた。

「続いては温泉リポートです。どんな美女が登場するのでしょうか?」

 アシスタントの紹介ののち、カメラは“美女”の足元をとらえ、そのままカメラアングルがゆっくり上がっていくと、実は男でした、というのがオチ。そのオチ要員に起用されたのが、まだデビューしたばかり、23歳の鶴瓶である。

 その後の展開を『笑福亭鶴瓶論』から抜粋、引用してみよう。

 ***

山城新伍の囁き

 鶴瓶は憤っていた。

 本番前、スタッフから不遜な言葉を浴びせられていたのだ。一人の人間として扱われていないような言動だったという。

 コイツに目にもの見せてやる――。そんな反骨心が沸々と沸き起こっていた。

「せっかく呼んでくれた(山城)新伍さんに悪い」とは思いつつ、我慢ができずに秘策を練った。

 カメラが腰元を捉えた時、事件は起こった。

 鶴瓶はバスタオルを外すと、そのままカメラに接近。

 股間をレンズに押し付けたのだ。

 生放送中のスタジオは悲鳴と怒号に包まれた。

 事件はこれだけで終わらない。

 司会の山城新伍の計らいで番組最終回にも鶴瓶は再登場。山城は、リハーサル前に鶴瓶に近寄るとこう囁いた。

「鶴瓶、今日でこの番組も終わりやしな。なにをやってもかめへんで。お前の好きなようにやり」

 山城新伍に迷惑がかからないのなら、やらない理由はなかった。

 再び鶴瓶はカメラに写してはいけない部分を露出するのだ。今度はお尻を突き出し、それをグーッと開き肛門をどアップにしてしまった。

 以降、約30年にわたり、テレビ東京に出入り禁止処分がくだされた。

 ***

 その後、2003年にも「露出」事件は起きるが、こちらは反骨心からではなく単なる悪ふざけの産物である。

 ちなみに、膨大な資料をもとに書かれた『笑福亭鶴瓶論』の中で、著者の戸部田誠(てれびのスキマ)氏は、こんな鶴瓶の「奇妙にも思えるポリシー」を紹介している。

「鼻毛は人に絶対見せん。チンチン見せても鼻毛は見せない。俺の、まあ言うたらポリシー」

デイリー新潮編集部

2017年8月24日掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。