“去勢”で落ち着き、GIを制したノンコノユメ

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 歴戦の古馬が、激走した。

 ノンコノユメ号(6歳)である。2月18日に行われたフェブラリーステークス(ダート1600メートル、東京競馬場)に出走し、勝利を収めたのだ。中央GⅠ制覇は今回が初めてである。

 競馬担当記者が言う。

「追い込み馬なので、後方からの競馬ということはわかっていましたが、3コーナーの時点で先頭から10馬身は離れていました。間に合うかなと思いました」

 ところが、

「最後の直線で大外から怒濤の末脚を見せ、最後に1番人気をクビ差でかわした。力強い競馬でしたね」(同)

 ノンコノユメは3年前、地方GⅠ・ジャパンダートダービー(2000メートル、大井競馬場)で勝利し、活躍が期待された。

「ただ、その後が苦しくってね……」

 とは、生産した社台ファームの代表、吉田照哉氏。

「成長するにつれて、神経がピリピリしてきて。鞍も乗っけられないくらい暴れるようなことも」

 そこで、

「調教師から、“騸馬(せんば)にしたほうがいい”と相談を受けたんです」(同)

 騸馬とは、去勢された牡馬のこと。

「種牡馬としての道が閉ざされる代わりに、気性が落ち着くんです。牝馬を見ても興奮しなくなる。いずれにせよ、ノンコはこのままだと競馬ができない。4歳の6月に手術しました」(同)

 術後、落ち着きを取り戻したものの、長期間成績は振るわず、去勢したことを批判する声も上がった。

「でも、この馬は走るって確信していましたから、そこまで気になりませんでしたね。やっと本調子に戻ってきたってことじゃないかと思います。内田さん(博幸騎手)の騎乗も素晴らしかったですが」(同)

 今後は海外GⅠ、さらには秋の国内レースが控える。

 騸馬の夢は、まだ続く。

週刊新潮 2018年3月1日号掲載

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